• 機能性材料
  • トクヤマ、高付加価値シリカ2製品を3年後に量産、半導体関連など的
  • 2022年10月6日
    • 中空シリカの走査透過電子顕微鏡画像
      中空シリカの走査透過電子顕微鏡画像
     <ケミマテ’22>

     トクヤマは開発中のシリカ2製品で、3年後に量産技術の確立を目指す。中空品と親水性球状多孔質品の事業化を目指しており、中空品は既存の中実材と比べて優れた誘電特性で半導体封止材フィラーとしての拡販を狙う。親水性球状多孔質品は高い吸油性能を背景とした化粧品材料のほか、ナトリウム(Na)含有率が低い特徴を生かした電子材料用途にも供給でき、要望に応じてさまざまな粒径、孔径を揃えて多用途展開を目指す。

     中空タイプは内部に空孔を持つ独立球状シリカで、絶縁性や断熱性を持つ。比誘電率は中実品の約半分となる1・6。樹脂への充填性が良く、充填後も空孔を維持することに加え、樹脂組成物の比誘電率を低減できるという。見かけ比重が中実品に比べておよそ3分の1で軽量化と強度向上を両立できるなどの特徴を持つ。

     半導体デバイスの封止材用途での採用を狙う。「サンシール」「シルフィル」といった既存の自社中実材シリカでも同用途で供給実績を持つが、誘電特性に優れた中空品を投入することで、需要拡大が見込まれる半導体関連用途での拡販に乗り出す。とくに28ギガヘルツ以上の高周波数帯を使う5G(第5世代通信)や、それ以降の6Gを見据えた高速通信用の高付加価値品向けに注力する考え。現状、中空品の誘電正接は0・0067で中実品より高いが、0・0022以下に低減する開発にめどをつけているという。

     このほか、軽量化材や断熱材用途も狙う考え。

     親水性球状多孔質品は、化粧品材料として展開する疎水性シリカエアロゲル「エアリカ」の親水タイプ「同RKシリーズ」として開発している。親水性でありながら吸油量が100グラム当たり300ミリリットルと一般的な親水性多孔質シリカと比べて5割以上高く、1グラム当たり2ミリリットルの細孔容積も同2倍程度大きい。

     多孔質シリカの原料にはケイ酸ナトリウムが使われるが、RKシリーズは原料由来のナトリウムがなく、含有量が低いことも大きな特徴。Na含有率は30ppm以下と一般的な多孔質シリカの10分の1程度からそれ以下で、高純度品を求める電子材料用途に提案し、すでに顧客の評価が進んでいる。

     粒径10マイクロメートルのRK-10タイプの開発を進めるが、粒径で数マイクロ~100マイクロメートル、細孔径で20~40ナノメートルまで調整できることから要望に応じて多品種展開も想定する。電子材料、化粧品だけでなく分析用カラムなど医療向け、二酸化炭素吸着用途も視野に入れる。

     両製品とも高付加価値品として少量生産で供給する考え。このため、多品種少量生産に適した製造プロセスも開発中で、3年後をめどに技術確立を目指す。

     17~28日に開かれる「ケミカルマテリアルJapan2022 ONLINE」に出展する予定。

     ◇

     17日に開幕する「ケミカルマテリアルJapan2022 ONLINE」に関連する技術・製品について紙面で順次紹介します。
いいね
  • ランキング(資源・素材)