• AGCエスアイテックの中空シリカ。殻密度が高く、溶媒中でも中空層を維持できる
      AGCエスアイテックの中空シリカ。殻密度が高く、溶媒中でも中空層を維持できる
     <ケミマテ’22>

     <素材で変えるデジタル社会/3>

     大容量・高速通信の5G(第5世代通信)でカギを握るのが放熱材料と低誘電材料だ。データ処理量の増大でこれまで以上に放熱対策が求められ、ミリ波のような高周波帯を用いた通信では、伝送損失を抑制するために低誘電率・低誘電正接の材料が必要となる。各社は展示会のオンラインブースで、ポスト5Gや6Gを見据えた革新材料を展示しており、その一部を紹介する。

     放熱フィラーとして酸化亜鉛を提案する堺化学工業。酸化亜鉛は放熱フィラーで代表的なアルミナの約1・5~2倍の熱伝導率を誇る。また、硬度がやわらかくアルミナが使いにくい用途などに用いることができる。

     トクヤマは窒化ホウ素フィラーを開発した。薄片から肉厚の単粒子、さらに凝集粒子まで幅広くラインアップし、さまざまな熱伝導率の要求に対応する。同社は高い熱伝導率を誇る窒化アルミニウム(AlN)のトップメーカーで、AlNフィラーも各粒径サイズを取り揃える。

     昭和電工のAlNフィラーの特徴は高い耐湿性。AlNは水分を吸収して加水分解し、アンモニア(腐食性ガス)を生成する課題がある。同社は独自の表面処理技術でアンモニアの生成を従来比1万分の1に抑えた。

     電気特性でアピールするのがAGCエスアイテック。ミクロンサイズの中空シリカは、殻密度が高く、溶媒中でも中空層を維持できるのが強み。割れにくく、凝集も起こりにくい。中空で誘電率が低い特徴を生かし、電材用途の需要を捉える考えだ。2022年度の上市を目指す。

     積水化成品工業はナノからマイクロオーダーの中空ポリマー微粒子を提案する。誘電率は2以下で誘電正接は0・002~0・003程度。低誘電特性に加え、低比重の特徴も付与できる。熱硬化性樹脂に20wt%添加した場合、誘電正接を約2割低下できたという。

     低誘電樹脂の取り組みでは、ユニチカがビスマレイミド樹脂を開発した。樹脂中の酸成分を極めて低減(低酸価)させた高純度のビスマレイミド樹脂としてアピールする。層間絶縁膜や導電ペーストなどの需要を想定する。そのほか水系接着剤「アローベース」はポリオレフィン系の樹脂であるため、低誘電正接の特徴を持つ。低誘電の液晶ポリマー(LCP)のベースフィルムと高密着するため、フレキシブルプリント基板(FPC)用のボンディング用途などを見込む。

     液状ポリブタジエンを紹介するのがエボニックグループ。同材料を用いることで5G向けの樹脂基板に耐薬品性や耐水性、電気特性などを付与できる。ポリブタジエン骨格の一部を変性することで、さまざまな樹脂と相溶させることが可能。基板だけでなく封止材などの需要も想定する。(おわり)
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