• 環境課題
  • 大陽日酸、各PSA装置で環境貢献
  • 2023年10月19日
  •  <ケミマテ’23>

     大陽日酸は各用途に適した圧力変動吸着(PSA)装置を提案し、環境負荷低減に貢献する。水素キャリア用のアンモニアでは、水素精製用のPSA装置を手がける。水素を99・9%以上に高純度化でき、燃料電池車(FCV)の水素燃料に使用できる。水素社会の実現に向け、従来比60倍の精製能力を持つ大型装置の開発を進める。バイオガス向けはメタンと二酸化炭素(CO2)を回収できるPSA装置を提案する。今春から排ガス由来のCO2回収PSA装置もラインアップしており、各分野でニーズを取り込む。

     ハンドリングしやすいアンモニアは水素キャリアとして注目を集める。アンモニアを熱分解することで水素と窒素が得られ、水素を取り出すことができる。この時点では水素に不純物が含まれるため、水素回収のPSA装置で高純度の水素に精製する。

     大陽日酸のPSA装置は99・97%以上の高純度で水素を精製できる。FCVの水素燃料のスペックに合うもので、すでに納入実績も持つ。同社は精製した水素を貯蔵する水素ステーションも手がけており、セット提案できるのが強み。現在、従来比60倍の精製能力を持つ大型装置の開発に取り組んでおり、水素社会の到来に向けて準備を進める。

     バイオガス向けのPSA装置は回収効率と低ランニングコストが強み。競合する膜方式が高い圧力を要するのに対し、PSAは吸着方式で分離するため、低圧力で運用でき、濃縮能力も高い。メタンは90%以上、CO2は99%以上の高濃縮で取り出せる。回収したメタンから水素を取り出すことも可能。国内で販売実績があり、今後は海外でも拡販していく。

     排ガス向けのPSA装置は、回収CO2量10トン/日の小型装置。CO2濃度が20~30%の工場排ガスを同装置で回収し、98%以上に濃縮。液化して保管できる。バイオガス向けのPSA装置と同様に地産地消のCCUS(CO2の回収・利用・貯留)などの需要を見込む。
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