電線の絶縁被覆用途などを想定
<ケミマテ’23>
【大阪】グンゼは、低温で加工可能なポリエーテルエーテルケトン(PEEK)熱収縮チューブの用途開拓に注力する。一般的な同チューブは300度C以上が必要だが、同社製は最低150度C以上で収縮させて被覆できる。また追従性も高く、さまざまな形態の基材への対応を可能としている。強度や絶縁性に加えてPEEKが持つ耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性といった特徴を活用。過酷な環境下で金属を代替する軽量化素材として部材の保護用途などでの拡大を模索する。
熱収縮チューブは基材にかぶせ、オーブンやヒートバーなどで熱を加えて被覆させることで、その樹脂が持つ機能を付与する素材。塗工や焼結などが必要なコーティングに比べて加工にかかる時間を短縮できるほか、より強固な膜となり樹脂本来の物性を発揮しやすい。
同社は、長くフッ素樹脂製の熱収縮チューブを手がけてきた。フッ素で培ってきた知見や保有するエンジニアリングプラスチック加工技術を応用。独自の延伸技術により、PEEKに熱収縮性を付与することに成功した。
同社のPEEK熱収縮チューブは追従性が高く、さまざまな形態の基材に精密に加工できる。また、独自技術により収縮温度が従来品より低いことも特徴。加工がさらに容易となるほか、基材へのダメージも低減し、応用の幅を広げることも可能としている。
すでにシャフトに部材を固定する金属バンドの代替として一部実績があるが、同社ではさらなる採用も狙う。アルミニウムなどに近い引っ張り強度などを有するPEEKの特徴を訴求。軽量化できる金属代替としての可能性を探る。耐熱性などを保有することから過酷な環境下で使用する電線などの絶縁被覆材といった用途を想定している。
PEEK熱収縮チューブは今月23日から11月27日にオンラインで開催する「ケミカルマテリアルJapan2023」(化学工業日報社主催)でも紹介。さまざまな業界へ周知を図る構えだ。