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  • グンゼ、フッ素ネットを27年度に売上1・5倍へ
  • 2023年10月20日
    • フッ素樹脂製ネット
      フッ素樹脂製ネット
     <ケミマテ’23>

     【大阪】グンゼは、半導体洗浄工程用フィルター補強材「フッ素樹脂製ネット」の売上高を2027年度に現状比1・5倍に引き上げる。100%パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)の極細糸を平織で製織したもの。中長期的な半導体需要の伸びを追い風とするほか、薄肉化を追求して半導体の微細化によるニーズにも応えていく戦略だ。さらに10月23日~11月27日、オンラインで開催する「ケミカルマテリアルJapan2023」(化学工業日報社主催)に出展し、同工程以外の用途開拓も狙う。環境・エネルギー分野などでの展開も模索する構えだ。

     フッ素樹脂製ネットは、マイナスの帯電が強いPFAをエンジニアリングプラスチック事業で培ってきたフッ素樹脂加工技術を駆使して紡糸。アパレル事業が保有する織りの技術と組み合わせて1990年ごろに開発した。

     主用途は、半導体洗浄工程で純水や薬剤などに含まれる異物を除去するフィルターの補強材。ハウジング内でろ過機能を持つポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製多孔質膜をプリーツ織りした同ネットで挟むことにより、同膜の破損を防ぐ。PFAが有する低溶出性、耐薬品性が生かされており、高機能領域の同フィルターでは高いシェアを握っている。

     半導体の微細化でよりクリーン度が求められることなどを想定。最細で直径35マイクロメートルの糸を使用した同ネットをすでに実用化している。さらには、同20マイクロメートルの糸も開発している。

     需要増加を見据え、生産体制も強化。エンプラ事業の基幹工場である江南工場(愛知県江南市)では新棟が2025年5月に操業を開始する予定で、同ネットも増強される見込みだ。

     同社では、同ネットはさまざまな膜の補強に使えるとみており、半導体洗浄工程以外への応用も視野に入れている。新規用途探索を目的にケミカルマテリアルJapanに出展。売上高1・5倍からの上積みも視野に入れている。環境・エネルギー分野などでの活用も想定、カーボンニュートラルなどのニーズにも応えたい考えだ。
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