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  • サーモフィッシャー、日本でmRNA原料販売強化
  • 2023年10月24日
    • リトアニア・ビリニュスのmRNA原料製造拠点
      リトアニア・ビリニュスのmRNA原料製造拠点
     米サーモフィッシャーサイエンティフィックは日本で、メッセンジャーRNA(mRNA)医薬品の原料事業を強化する。新型コロナワクチンで初めて実用化されたmRNA薬は製薬会社やスタートアップの応用研究が活気づいており、研究の進展とともに製造需要が増える見通し。同社では日本法人にmRNA原料の販売だけでなく技術支援や薬事などの専門家で構成する専任組織を設置し、日本市場の本格的な開拓に乗り出す。

     米サーモフィッシャーはmRNA分野で原料供給に加えて、製造装置や開発・製造受託(CDMO)まで幅広く展開する。このうち、コロナワクチンでは、mRNA原料を医薬品の品質・製造管理基準GMPの下で供給する体制をいち早く整え、実用化に貢献した。サーモフィッシャーの日本法人の担当者は「mRNA用原料の世界のリーダーとして認められている」と話す。

     mRNAはたんぱく質を作る遺伝情報を持ち、それを医薬品やワクチンに使う。mRNAの原薬の製造では複数のプロセスを踏む。目的のたんぱく質を作る遺伝情報を組み込んだプラスミドDNAを大腸菌などの微生物に導入して培養し、鋳型になるDNAを抽出する。次に鋳型DNAを元にインビトロ転写により遺伝情報が組み込まれたmRNAを合成し、精製する。

     サーモフィッシャーはプラスミドDNA製造に使う制限酵素から、インビトロ転写合成に用いるヌクレオチドやシュードウリジンなどの修飾核酸、キャップ化酵素、精製用磁気ビーズなど必要な原料を幅広く揃える。研究用、開発用、製造用と開発段階に応じてグレードを用意し、研究の初期から商用向けまで需要を取り込む。

     日本では、コロナワクチン開発が本格化し始めた2020年頃から問い合わせがあり、最近は「創薬研究をスタートした製薬会社、スタートアップ、アカデミアから引き合いが増えている」(同)ことから、日本に専任組織を立ち上げた。原料の営業部隊のほかに、事業開発や技術支援、薬事対応などの専門家で構成し、顧客の研究開発を後押しして原料販売につなげる狙いだ。

     mRNA用原料は主にリトアニアのビリニュスの主力工場から日本に供給する。コロナワクチンの需要増やBCP(事業継続計画)の観点から米国でも3つの拠点で製造体制を整備しており、一部は米国から日本に持ち込む方針。

     世界ではmRNA医薬品の臨床試験が200件以上進んでいるとされる。コロナワクチンは海外製品の輸入に頼るが、第一三共が承認を先ごろ取得し、Meiji Seika ファルマも次世代品を開発中だ。コロナワクチンに続いてがんワクチン開発にも力を入れる米モデルナは神奈川県藤沢市に生産拠点を置く計画で、今後、日本国内でmRNA薬の製造需要は大きく拡大する見通しだ。
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