• 基盤材料
  • 仏カリシア、日本でマイクロカプセル本格展開
  • 2023年10月25日
  •  <ケミマテ’23>

     仏Calyxia(カリシア)は日本で先端材料向けのマイクロカプセルソリューションの展開を本格化する。カスタマイズ可能なマイクロカプセル化技術を開発したことを機に、同ビジネスを加速している。フランスの開発・生産拠点では生産能力の増強に向けた新工場の建設が進むほか、日本では、各種展示会を通じて、マイクロカプセルソリューションの提案を強化しており、顧客や研究者への知名度向上を狙う。

     カリシアは2015年にパリで設立したスタートアップ企業。米ハーバード大学、ESPIパリといった世界的な研究機関との共同研究を通じて、独自のマイクロカプセル技術を設計、開発、販売している。この技術は高性能で環境にも配慮しており、グローバルでの展開が進んでいる。

     同社の強みの一つはカスタマイズが可能なマイクロカプセル化技術。完全に密封され、設計が可能な同技術を活用することで、顧客やパートナーは新しい機能を持つ素材の開発や、既存の素材の性能向上が可能となる。

     カスタマイズで重要となるのがそのプロセスにある。設計や開発プロセスでは多くのアイデアの組み合わせが考えられるため、同社はパートナー企業と機密保持契約(NDA)を締結し、プロジェクトの詳細を共同で決める。その後、サンプルの提供や評価を経て、プロトタイプ(試作品)の制作に進む。このプロトタイプを顧客のアプリケーションで検証し、最終的に工業化スケールのカプセルの製造を開始する。

     こうした強みを生かし、日本市場でもシーラント、複合材料、塗料・コーティングなど先端材料分野を中心にマイクロカプセル製品の提案を強化する。「Calyx」は、触媒、促進剤、開始剤などの反応性成分を含むマイクロカプセルで、安定性や反応性に優れる。これにより硬化温度やサイクル時間の削減につながる。

     「Calyshield」は潤滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの機能性成分を備えたマイクロカプセル。添加剤の相溶性や安定性の向上が期待できる。

     カリシアは、10月13日~11月27日までオンラインで開催される「ケミカルマテリアルJapan2023」(化学工業日報社主催)に出展している。同社のWEBブースでは、独自のマイクロカプセル化技術を紹介する。先端材料製品ラインのほか、マイクロプラスチック規制に対応する生分解性マイクロカプセルなどのソリューションも紹介する。
いいね
無料公開記事

  • ランキング(資源・素材)