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  • 積水化学・加藤社長、オール日本でPSC育成
  • 2023年11月17日
    • 会見する加藤社長
      会見する加藤社長
     積水化学工業はこのほど、都内で中期経営計画の進捗説明会を開催し、加藤敬太社長が中長期の成長に自信をみせた。今期は住宅事業の需要減を他事業が補い、営業利益で過去最高の1000億円を見込む。種まきにも余念がなく、今年から相次いで海外スタートアップとの協業を始めた。環境分野の事業育成も進んでおり、とくに力を込めるのが「オールジャパン」で取り組むフィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)だ。

     上期業績は高付加価値製品の拡販に円安効果も加わって売上高、純利益で過去最高を更新した。通期は売上高、純利益に加え、営業利益も過去最高を更新する見通し。環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルの3分野で過去最高益を見込み、住宅セグメントの落ち込みをカバーする。

     さらなる成長を目指し、新規事業の創出にも取り組む。今年に入り、複数の海外スタートアップとの提携を決めた。独ヴォロコプターは電動垂直離着陸(eVTOL)機体やドローンの開発・製造を行っており、積水化学は機体向けに各種材料を供給する。第5世代通信(5G)・6Gの次世代通信分野に強い加ラティスとは、積水化学が手がける次世代通信部材と融合を図る。

     環境分野での存在感も高まってきた。可燃ごみからエタノールを生産するバイオリファイナリー(BR)事業は岩手県久慈市で実証が始まり、足元では芳香族系のエポキシ原料の生産を目指す第2プロジェクトも進む。

     加藤社長が説明会で最も時間を割いたのが2025年の事業化を目指すPSCだ。同社の封止や成膜などの独自技術を注入したPSCは10年の屋外耐久性が強み。変換効率は15%を達成ずみだ。25年までに現行の30センチメートル幅から1メートルへ広幅化を図り、耐久性と変換効率もさらなる向上を目指す。

     「ペロブスカイト太陽電池は脱炭素だけでなく、昨今の世界情勢からエネルギーの安全保障の観点でも注目を集めている」(同)。国からの期待も大きく、加藤社長は6月に水無瀬イノベーションセンター(大阪府島本町)を訪れた西村康稔経済産業大臣とPSCについて意見を交わし、10月には首相官邸で行われた「東京GXラウンドテーブル」に産業界代表として参加。日本発の技術であるPSCをアピールした。今月末からドバイで開幕する「COP28」でのプレゼンも決まっているという。

     PSCの主原料であるヨウ素は、日本が世界産出量の3割を占め、そのほかの材料もほぼ国内調達が可能だ。日本は過去、シリコン系太陽電池のコモディティ化で中国勢に覇権を奪われたが、軽くて薄いPSCは、ビルの壁面に搭載するなど差別化戦略が描ける。施工まで含めたトータルコストでみれば、将来的にシリコン系とも伍していける。

     加藤社長は「材料メーカー、装置メーカーを含めたオールジャパンでPSC事業を成功させたい」と締めくくった。
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