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  • 東レ、PETフィルムなど7事業・会社でリエンジ
  • 2023年11月28日
    • 大矢社長
      大矢社長
     東レは、事業環境が厳しさを増している7つの事業および事業会社についてリエンジニアリングを推進する。大矢光雄社長が27日、本社で開催した記者会見で明らかにしたもので、コロナ禍以降さまざまな要因で事業構造が変化したポリエステル(PET)フィルムやラージトウ炭素繊維などを対象に7月から構造改革を進めている。同社は全社的にも収益力を最大化する価値創出力強化や競争力強化の取り組みを実行しているが、対象7事業・会社についてはとりわけ重点的に「短期的にはコストダウンの徹底を、中期経営課題期間中にはビジネスモデルを変革していく」と述べ、製品によって収益改善が見込めないものについては「設備そのものを削減していくことも含めて検討している」と語った。

     対象となるのは、汎用PETフィルムを手がけるマレーシアのペンファイバー、米国のTPA、欧州のTFE、ラージトウ炭素繊維のゾルテック、ABS樹脂のマレーシアTPM、ポリプロピレン(PP)スパンボンド不織布、ポリエステル短繊維。中国需要の回復遅れや欧米向け輸出鈍化の長期化、新興勢の勃興などあり、従来型ビジネスで収益を確保し続けるのが難しくなっていることを踏まえ、同社の品質力や組織の総合力を生かしたコストダウン活動で競争力を底上げし、収益改善を目指す。同時にそれぞれの事業の競争力などを細かく分析し直し、優位性を確保できる市場に高付加価値製品を展開していくためにリソースを投入していく。

     「ディスプレイ、家電関連のサプライチェーン在庫は確実に消化されているが、第3四半期時点で想定には届いていない」(大矢社長)。PPスパンボンドも「中国の出生率低下に加え、ローカルメーカーの伸長により、衛生材料のグローバル大手がシェアを落とし、中国市場の構造が変わっている」(三木憲一郎専務執行役員繊維事業本部長)。こうした影響で、例えば海外ABS樹脂は上期に4割の稼働調整を行い、10~12月も3割調整を継続する。PETフィルムや風力発電向けが調整局面にあるラージトウなども減産に追い込まれている。

     ただ、ABS樹脂では「再度市場を分析し、当社のブランドやサプライチェーンの強さを改めて認識したので、汎用から透明などの特品にシフトするための構造改革を早期に実施する」(大矢社長)。フィルムもMLCCなどハイエンド分野に対する方針は変えず、産業資材向けは徹底的なコストダウンを進める一方、利益を生まないのなら能力削減も選択肢に含める。ラージトウは、欧州市場での市場拡大のスピードが遅れていることに加え、中国勢による汎用品の大増産で市況に下押し圧力がかかる。しかし「ゾルテックの世界一の競争力を、原点に立ち返ってさらに強化するとともに、どの地域で勝てるかを細かくメッシュしてインドなども含め、欧米以外にも拡販の手を打ち始めている」と語った。
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