• インタビュー
  • 東ソー・桒田守社長、スペシャリティ投資は計画通り
  • 2024年1月17日
     <展望2024トップインタビュー>

    ◆…ボラティリティが高いコモディティ製品の収益安定化策をどのように講じますか。

     「国内市場と同様、原燃料価格の変動に応じた価格修正が可能な市場に的を絞ればボラティリティを下げられる。そのためには地産地消が理想なので、インドネシアやフィリピンにある製造拠点をいかに活用するかについて、ある程度の期間のうちに結論を出したい。塩化ビニル樹脂を製造するためのエチレン調達が焦点になるだろう」

    ◆…スペシャリティ領域における中計方針の進捗状況は。

     「事業面は、在庫調整中の製品もあり計画に対して1年程度遅れている印象だが、設備投資についてはおおむね計画通り。スパッタリングターゲット材、石英ガラス、バイオサイエンス製品で能増投資を発表し、2000億円を掲げた現中計の設備投資計画に対してはプラスで動いている」

    ◆…クロロプレンゴムや臭素など今期中の意思決定を見込んでいた製品の投資は。

     「中国の景気低迷や電気・電子材料の在庫調整が影響して需給バランスが緩んでおり、慎重に判断せざるを得ない。スペシャリティ領域ではこのほか、ジルコニア粉末の増強も検討課題としているが、新規分野として期待する電解質用途の開拓を優先したい」

    ◆…今後、収益貢献を期待するスペシャリティの製品を教えてください。

     「窒化ガリウムのターゲット材を上市できた。評価が順調なら、CVD(化学気相成長法)からコストを削減でき、代替が進む。二酸化炭素(CO2)回収アミン液は排ガスからCO2と酸素を分離してCO2を回収するプロセスについて、22年夏から南陽事業所(山口県周南市)のベンチ設備で実証試験を実施してきた。24年秋からは商業スケール設備に移行する。機器を含めたシステムとしての事業展開となるため、顧客の使用環境との最適化も求められる。ライフサイエンスでは、糖尿病関連で腎障害の検査試薬を開発中だ。これらは、次期中計での収益強化に貢献させたい」

    ◆…脱炭素対応の進捗はいかがでしょうか。

     「南陽事業所は、バイオマス発電所建設に続き、CO2を回収し、原料として使用する設備を設置することを決めた。バイオマスは、混焼比率増加に向けて既存設備でのブラックペレット混焼テストを実施中だ。また、半炭化設備導入の工事にも着手しており24年度には完成する予定。バイオマスの安定調達にも寄与するだろう。四日市事業所(三重県四日市市)は、オイルコークスから副生するガスを発電に使うためのガスタービンについて、追加設置を検討している」

    ◆…新年度は新しいオフィスで迎えます。

     「リラックススペースや東ソークラブを使いやすくし、従業員が会社に来たくなり、交流が活発になるような工夫を導入した」

    (石川亮)

     <記者の視点>

     東ソーの収益力強化を担うスペシャリティ領域は電気・電子材料を中心とする在庫調整の煽りで需要が足踏み。現3カ年中計目標の達成は「難しくなったかも」と明かすが、道筋をつける能力増強計画はおおむね揃い、新製品も仕込む。一方、コモディティ領域も課題となる収益安定化へ向け、クロル・アルカリ製品を地産地消する策を練っており、どのような解答を出すかが見もの。
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