• インタビュー
  • カネカ・田中稔社長 「グリーンプラネット」に期待
  • 2024年1月25日
     <展望2024トップインタビュー>

    ◆…2024年の事業環境はどのように展望していますか。

     「下半期(23年10月~24年3月)および24年は回復基調を確かなものにできる。基盤事業に位置づけるマテリアル、電子材料、機能繊維も厳しかった23年から力強さを取り戻している。オンリーワン素材の変成シリコーンポリマーも欧米の金融引き締め政策がピークアウトするなかで建築需要が刺激され成長軌道に戻るはずだ。注力しているライフサイエンス領域も引き続き伸びしろを見込める」

    ◆…どういった事業、製品の伸びに期待していますか。

     「血中の悪玉コレステロールを選択的に除去する『リポソーバー』、閉塞性動脈硬化症を治療する吸着型血液浄化器『レオカーナ』を製造する新工場が北海道で稼働するほか、新型コロナワクチンで社会実装が進んだメッセンジャーRNA(mRNA)では、がん治療や遺伝子疾患治療領域での引き合いを取り込むことができる。低分子領域も当社が得意とする製品の供給を伸ばすことが可能とみている」

    ◆…現中計で今年は『カネカ生分解性ポリマー グリーンプラネット』で初めての量産設備が稼働予定です。

     「高砂工業所(兵庫県高砂市)での建設を順調に進めており、生産能力が2万トンになる。垂直立ち上げが可能で、次期投資は地産地消を念頭に欧米での生産も含めた検討をすでに始めている。次期増強は植物油を原料とする製法が主だろうが、調達の仕組みを検討しながら廃食油も一部原料に活用したい。利便性やコストに優れる既存材料からの切り替えに二の足を踏む需要家が多かった雰囲気が変わりつつあり、グローバルに事業展開するブランドホルダーとの協働開発が進んでいる。加工技術を含めたサプライチェーンの構築も検討中で大型案件になる手応えがある」

    ◆…メディカルやバイオ医薬で講じる次の一手は。

     「メディカルでは、北海道で導入した革新技術による医療機器の拠点を拡充したい。バイオ医薬はmRNAのほか、受託製造領域を広げる可能性はある。とくに再生細胞医療領域は、当社の技術が生かせるはずだ」

    ◆…一方、既存事業における投資方針は。

     「ヘテロ接合型太陽電池を増強し、従来の戸建て住宅向けの拡販に加え、車載用途や非戸建て建築物向けなど採用分野を広げる。頭髪用モダクリルもアフリカ市場の回復、成長を見極めて判断する」

    ◆…買収した日本医療機器技研との間で期待するシナジーは。

     「既存のステント(動脈硬化など冠動脈疾患の治療で治療部位に留置し血管を拡張することで狭窄を解消する医療機器)を、生分解性マグネシウム合金による生体吸収性製品に置き換えようとしている同社と、当社の技術を連携させることで開発を加速し、28年度に上市したい」(石川亮)

     <記者の視点>

     中計において最大の注力分野であるライフサイエンス領域は、中間決算でヘルスケア、ニュートリションの両事業が増収増益に成功し、手応えをつかむ。変成シリコーンポリマーを中心に基盤事業の巻き返しが期待できるのも支援材料で、さらに今年はグリーンプラネットの量産設備が稼働し、大型案件の実績化も間近とのことで、収益貢献にも期待をかける。
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