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  • 日本曹達、薬溶かす技術で製剤革新 医農薬・動物薬を創出
  • 2024年1月29日
    • ナノ粒子のイメージ
      ナノ粒子のイメージ
     日本曹達は、医薬品成分を溶けやすくすることで機能性を高める技術を開発したベンチャーに出資し、革新的な医薬・農薬・動物薬を創出する。化合物をナノ・マイクロ粒子化する技術の独占使用権を得て、同ベンチャーと組み、医薬品の開発・製造受託(CDMO)の事業化に乗り出す。農薬や医薬品添加剤、動物薬分野にも同技術を適用し、新製品の創出を目指す。1剤で売上高数十億~百億円超の製品を2020年代から複数立ち上げ、ヘルスケア事業を飛躍的に拡大させる戦略だ。

     九州大学発ベンチャーのSENTAN Pharma(センタンファーマ、福岡市博多区)と提携する。同社は技術的に難易度が高いナノ粒子化技術やマイクロ粒子化の技術に強みを持つ。低分子から高分子まで、常温で固体か液体かを問わず、幅広い有機化合物を対象とすることができ、連続フロー方式による大量生産にも対応する。独自開発の特殊な装置を用いて化合物を微粒子化するとともに、分散・安定剤や生体吸収性ポリマーで包み込み、凝集を防ぐ。

     開発される医薬品候補化合物の多くが溶解性の課題を抱えているなか、ナノ粒子化により溶解性を改善できれば、これまで製品化が困難だった化合物を使用した新たな医薬品を実現できる可能性が広がる。吸収性の向上により、医薬品の投与量や投与回数の削減も期待できる。農薬に応用すれば、化学農薬の使用量と環境負荷の低減につながりそうだ。マイクロ粒子は医薬品成分を徐々に放出する機能を発揮し、薬効の持続性を高める用途が想定される。

     昨春から技術提携を続けてきた両社が今般、資本業務提携を始める。日本曹達はセンタンファーマに出資し、医農薬分野に関し、ナノ・マイクロ粒子化技術の独占権を得る見込み。技術の獲得により、医農薬の開発やCDMOの事業化への過程を加速する。

     農薬分野では、殺虫剤をターゲットに、まず既存の自社製品の原体でナノ粒子化製剤の適用を図る。成分の活性が高まることで、新たに安全性の試験や登録作業などのタスクが生じ、製品化には数年を要するとみられるが、すでに開発に着手ずみで、20年代中の発売を目指す。近年、新たに開発を始めているペプチド農薬との組み合わせも見据える。

     医薬品分野では、30年近傍の製品化に向けて開発中のペット用動物薬への適用を検討するほか、現在の主力製品である医薬品添加剤のHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)や、次世代医薬品をターゲットに開発中の新規医薬品添加剤とのシナジーに期待する。事業化を目指すCDMOでは、30年をめどに案件を具体化したい考え。

     センタンファーマの研究施設に研究員を送り込み、共同研究を進める。将来的には日本曹達の拠点にナノ・マイクロ粒子化できる製剤設備を整えたい考え。新規の医農薬製品の開発やCDMOの事業化の加速に向け、今後、同様の分野でさらにスタートアップの合併買収(M&A)も視野に入れる。
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