• インタビュー
  • 長瀬産業・上島宏之社長 成長戦略、着実に次の一手
  • 2024年2月1日
     <展望2024トップインタビュー>

    ◆…足元の状況からお願いします。

     「中国経済の動向は当社のビジネスにも影響が大きく、注視している。樹脂販売事業、また繊維など従来からある産業は厳しい状況が続くと思われる。電子部品関連については、中国製スマートフォンの売上台数が減っていることから回復には時間がかかるだろう。半導体関連については2024年度下期から回復するとみている。一方で、生成AI(人工知能)などのハイエンドサーバー向けの半導体は昨年から順調に推移しており、今年も好調を期待している。金融緩和などにより需要が旺盛になれば、当社の事業も回復に向かう」

    ◆…昨年の第2四半期決算説明会で成長戦略を発表しました。

     「将来に向けた成長戦略として、商社・製造・研究開発の機能軸で、基盤、注力、育成、改善のポートフォリオを再整理した。注力は特定分野の製造機能への投資として、半導体、フード、ライフサイエンスの3分野、また育成は将来の収益源として、研究開発(バイオ)、新規事業(新製品など)、新規エリアをあげた。半導体については、ラピダスが建設する半導体工場(北海道千歳市)に、関連材料を本州から北海道へ向けて輸送を手配する取りまとめ業者の一社に選定された。また、半導体製造に使用された現像液の回収・再生事業を25年をめどに開始、デファクトスタンダードにしたい。加えて、ナガセケムテックスの剥離剤と封止材の事業拡大に向けた投資も行いたい。バイオについては長瀬産業と林原のバイオ技術に関する基盤研究機能を統合し、27年4月以降、神戸市のポートアイランドに研究所を新設し、そこに集約することを計画している」

    ◆…新規エリアは。

     「グローバルサウスとして、インド、インドネシア、メキシコ、ブラジルの4カ国に資本を投下しマーケットを先取りしたい。インド市場は急激に伸びており、当社が扱う製品の幅が広がってきているので非常に楽しみにしている。メキシコも成長期に入っている。ブラジルは農業、フード、香粧品の市場が成長しており、パートナー企業と協業すべく体制を整えつつある。インドネシアについても注目している」

    ◆…基盤事業は。

     「モビリティ関連は、自動車販売台数が昨年から回復しており、電気自動車(EV)関連の部材についても着実に実績を上げている。化学品はコロナ禍で積み上がった在庫の消化が進んだので、23年末からは通常の需要に戻り回復してきている」

    ◆…今年の意気込みをひと言お願いします。

     「成長戦略を確実なものにして、今年も常に次の手を着実に打っていきたい。社長としての職務を全うしていくため、意思決定の精度を上げていけるように、自分自身も勉強していきたいと思っている」

    (長田龍馬)

     <記者の視点>

     同社は強みを生かし成長が見込めるフード・半導体・ライフサイエンス分野の製造機能に集中的に投資するとして約800億円の投資額を掲げた。他方、先ごろ神戸市ポートアイランドにバイオの基礎研究拠点を27年4月以降に新設することを明らかにした。成長戦略が着実に歩みを進めている。次はどのような手を打ってくるのか、注目していきたい。
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