• ASMLは高NA機の初号機を昨年末、米インテルに出荷した(ASML広報資料)
      ASMLは高NA機の初号機を昨年末、米インテルに出荷した(ASML広報資料)
     半導体製造装置の中枢である露光機市場が堅調に推移している。牽引役はEUV(極紫外線)機であり、唯一のサプライヤーである蘭ASMLは昨年末に次世代プロセス対応の高開口度(NA)機の初号機を出荷したところだ。国内勢は半導体とフラットパネルディスプレイ(FPD)向けの両露光機を生産しているが、FPD市場の低迷を半導体露光機の増販で補う格好である。台湾と韓国、米国で先端工場が続々と稼働をはじめる2025年以降、半導体露光機の市場規模は急拡大が見込める。

     EUV露光機の勢いは拡大の一途である。ASMLの23年10~12月期の受注額92億ユーロのうち高付加価値のEUV露光機は56億ユーロを占め、51・4%という売上利益率に貢献している。

     23年12月期の売上高は前年比約30%増の276億ユーロ、純利益は同約40%増の78億ユーロ、受注残は390億ユーロだった。24年は「同程度の売り上げ見込み」と慎重だが、「25年に予想される大幅な成長へ備える重要な年」(ピーター・ウエニンクCEO)とは位置づけている。

     半導体露光機の販売台数は通期で449台(前年345台)、うちEUV機は53台(出荷台数は42台)、売り上げに占める構成比は42%になった。EUV機の前年販売実績は40台、構成比は46%だった。

     市場の動きで目立つのは中国の急伸であり、売り上げ構成比は22年の14%から29%に急増。これは米の輸出規制を反映したものとみられる。高水準が続く台湾の構成比は30%(前年42%)、韓国は24%(同29%)。日本は2%(同4%)にとどまっているが、台湾では「TSMCは熊本第2工場にEUV機を大量導入する」と報道されている。

     同社は1ナノメートル台の次々世代プロセスに適用される高開口度NA機「EXE:5000」の初号機を米インテルに出荷した。インテルは先端プロセス開発で出遅れているだけに初号機を入手する意味は大きく、巻き返しに活用する。

     一方、国内勢は熟成プロセス向け露光機が好調。キヤノンは24年12月期、半導体露光機の増販などで4年連続の増収増益を見込む。KrF(フッ化クリプトン)とi線(波長365ナノメートル)露光機がパワー半導体やアナログ半導体、センサー生産向けに売れている。

     23年12月期の販売実績はKrF機が56台、24年予想は63台。同じくi線は131台、同184台である。半面、FPD露光機はパネルメーカーの投資抑制を受けて縮小傾向が続いており、23年の販売台数は前年割れとなった。24年はタブレット向けなどのITパネルを主体に後半から市況が回復するとみている。

     ニコンは、EUVに次ぐ微細プロセスが可能なArF(フッ化アルゴン)液浸機の売り上げが増えている。半導体露光機(新品)の販売台数は昨年4~12月、前年比8台増の22台だった。通期予想は前年比3台増の30台、中古を含むと同3台減の42台だが、このうち高単価のArF液浸機は11台(前年4台)と大きく増える。

     FPD露光機の販売は4~12月、前年比8台減の11台。通期予想も前年の29台から16台に大幅減だが、高単価の第10・5世代機は前回予想の1台から4台(前年7台)に増える。

     こうした露光機の動きはレジストをはじめとする高純度薬液の需要を左右するものだ。25年以降の成長軌道に期待が高まっている。
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