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  • 住友ベークライト、COP高耐熱品で進出 半導体・ディスプレイ開拓
  • 2024年5月13日
    • 独自の共重合技術によりユニークな特徴を付加できる
      独自の共重合技術によりユニークな特徴を付加できる
     住友ベークライトは、ノルボルネンを原料とするシクロオレフィンポリマー(COP)およびコポリマー(COC)で、半導体やディスプレイ市場を開拓する。既存のCOP系樹脂に比べて高い耐熱性を誇るとともに、独自の共重合技術により低誘電で耐溶剤性や現像性、硬化性、柔軟性などユニークな特徴を付加できる。開発中の光硬化型グレードでは、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの有機膜を基板として扱うことも可能となる。最先端の情報通信デバイスの小型化や多機能化により材料に要求される特性が多様化するなか、従来材料でなし得なかった新たな機能を訴求する。多くの顧客との案件が進行し始めており、2030年近傍には年間50億円規模の売り上げを見込める事業への育成を目指す。

     シクロオレフィン系ポリマーは、環状の炭化水素を主成分とするポリマーで、熱や光に対する安定性が高く、高透明性、高ガラス転移点(Tg)、高剛性、低誘電率、低誘電正接、低吸水率などに優れる材料。現在、市場には複数のメーカーが展開しており、食品包装材料や医療用品、自動車部品、光学材料など幅広い用途に使われている。ただ、オレフィンとの共重合や水添体などによる、融点の低いタイプが多い。

     住友ベークライトの「スミライトレジン PRZシリーズ」は、付加重合型のCOPおよび共重合によるCOCで、粉体として製造し、ワニスとして販売する。脂環式骨格由来の特性としてTg(ガラス転移温度)は250度C以上で、熱可塑タイプ、熱硬化タイプともラインアップ。市場からの要望が強い加熱フリータイプの光硬化型COPの開発も進めており、常温で硬化可能なことから、デバイスの設計自由度を向上させられることが評価されている。また、有機フッ素化合物(PFAS)フリータイプなど法規制対応製品の準備も順次進めている。

     バッチ式の製造設備により顧客のニーズに合わせた製造が可能。側鎖官能基を用途に合わせて設計することで、例えば官能基にアルカリ可溶性や架橋性基をつけ、ネガ型感光膜として半導体や表示体などのフォトレジスト用に使用できる。熱、酸、塩基、ラジカルなどの発生剤なしで光のみで硬化できるため非常にクリーンな光架橋型ポリマーとしても展開できる。さらにガラス基板などに代えてPETフィルム上で低温硬化プロセス対応が可能となる。

     同社は01年に米グッドリッチからノルボルネン樹脂の研究開発部門を買収。現在も米オハイオ州のプロメラス研究所で開発やマーケティング活動を行っているが、15年頃から日本のHPP技術開発研究所でも開発に着手。静岡工場(静岡県藤枝市)に量産設備を導入してマーケティング活動を進めてきた。まずは新中計の最終年度である26年度に10億円規模の売り上げを目指すが、「すでに30年頃にアジア中心に20億~30億円規模が期待できるテーマが進行している。さらにグローバルに市場を開拓し、50億円への道筋をつける」(同社)。需要動向をみながら同工場での増設も検討する。センサーや医療用途などにも展開を広げていく。自社開発品である光導波路などにも同材料を用いている。
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