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  • 富士フイルム、バイオ薬原料売上高6割増 大阪で能力3倍
  • 2024年5月16日
    • 富士フイルム和光純薬の大阪工場でこのほど新たな生産設備を立ち上げた(医薬品原料生産棟)
      富士フイルム和光純薬の大阪工場でこのほど新たな生産設備を立ち上げた(医薬品原料生産棟)
     富士フイルムは、医薬品製造向け原料事業の売上高を2026年度に23年度比6割増やす。抗体医薬品や遺伝子治療薬の需要拡大で、バイオ医薬品市場は年平均10%程度の成長が期待される。伸長する需要を取り込むべく、グループの富士フイルム和光純薬(大阪市)がこのほど、大阪工場でGMP対応の医薬品製造用原料の生産能力を3倍に拡大した。製薬メーカーや製造受託企業の加工作業の効率化ニーズに応え、粉体原料の溶液化ビジネスを海外にも広げる。

     富士フイルムの医薬品原料は、バイオ医薬品の研究開発、製造過程で使用される。例えば、抗体医薬品では精製時の酸やアルカリ添加によるpH変化を和らげるバッファー(緩衝作用)や溶解度向上、細胞分散、安定化などの幅広い用途で需要が伸び、精製カラムや培養タンクの洗浄剤としても用いられている。

     GMP管理下で製造する製品ブランド「サーティプロシリーズ」(規格品)とそのカスタマイズ品を和光純薬の大阪工場で製造しているが、15日には同工場に新設備を導入し、生産能力を従来比3倍に拡大したことを発表した。22年10月に投資決定し、今年4月に増強を完了して試運転を続けてきた。投資額や具体的な生産能力は非開示。とりわけ欧米など海外向け需要に応える方針で、「伸長が期待されるアジア需要も取り込みたい」(同社)としている。

     医薬品原料はレジスト材料と並ぶ富士フイルムのファインケミカル事業の重点領域。コロナ後の反動を受けながら、23年度の売上高は20年度比で8割伸びた。今後の海外事業拡大に向けては、国内で販売している粉体原料を溶液化した「バイオプロセシング用溶液」のグローバル展開を図る。原料品種を拡充し、今夏には、これまでのポリドラムやタンクに加え、シングルユースバッグに充填した製品の市場投入も見据える。他方、培地事業を展開するグループのフジフイルム アーバイン サイエンティフィック(IS)との連携を強化し、ISの海外製品販売チャネルの活用も進める。

     和光純薬の社長も務める吉田光一ファインケミカル事業部長は「試薬で培った精製技術(高純度)、微量成分を検出する試験技術(品質保証)、フロー合成の各技術を生かし、世界トップティアの事業に育成していきたい」考え。
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