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  • 政府、バイオ戦略刷新 ものづくりなど注力5領域に
  • 2024年5月22日
  •  政府は国家戦略であるバイオ戦略を最新の動向を踏まえて見直す。改定後は「バイオエコノミー戦略」とする。20日にバイオ戦略のフォローアップ有識者会議が開かれ、戦略案が固まった。2019年に策定した現行戦略では9つあった注力すべき市場領域を、「バイオものづくり・バイオ由来製品」、「一次生産など(農林水産業)」、「バイオ医薬品・再生医療等、ヘルスケア」といった5つに絞り込んだ。その一方で、30年の市場規模は総額100兆円に引き上げた。さまざまな産業を牽引するバイオテクノロジーを、日本経済を強力に引っ張る基幹技術として鮮明に打ち出すのが狙い。事実上、戦略を刷新することになった。

     近く開催するイノベーション政策関係閣僚で構成する統合イノベーション戦略推進会議(有識者会議の親組織)で正式に決定する。戦略内容は「統合イノベーション2024」(統合戦略2024)や政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(成長戦略)に落とし込み、まずは8月に関係府省がまとめる来年度予算案の概算要求に反映する。

     有識者会議で座長を務めるバイオインダストリー協会(JBA)理事長で中外製薬の永山治名誉会長は同日の会合で、「半導体と同様にバイオも重要性が増しているが、まだ十分に認識されているとは言いがたい」と、新たな戦略が、その一助となることを期待する。また、戦略実現の鍵は将来の担い手であり、「海外ではバイオ分野に他国から多くの人材が入ってきている。日本も自前主義の国ではない。どのように人材確保していくかが極めて重要」と述べた。

     バイオ技術やバイオマスを活用するバイオエコノミーは環境、食料、健康といった分野での課題解決だけでなく、サーキュラーエコノミー(持続経済)の実現にもつながる。新戦略はこの動きをキャッチアップする羅針盤の役割を担う。また、30年のバイオエコノミー市場規模は海外市場なども取り込むことで、100兆円(現行戦略では92兆円)が見込めるとした。

     現行戦略策定後の22年度政府予算で、バイオものづくりをはじめとする総額1兆円規模の大型予算が盛り込まれたことも、戦略刷新の大きな要因となった。

     新たに設定したのは5つの市場領域。「バイオものづくり・バイオ由来製品」では、技術の進展によって、従来の素材・プラスチックだけでなく幅広い市場が拡大するとみる。一次生産など(農林水産業)では、「持続的一次生産システム」におけるスマート農業、みどりの食料システム戦略や産業界の関心が高いフードテックを特筆し、「木材活用大型建築・スマート林業」ではスギ花粉の発生源対策の取り組みを加速させる。

     「バイオ医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連産業」では、次世代医療につなげ研究・製造基盤の構築や創薬ベンチャー育成に力を入れる。「生活習慣改善ヘルスケア、デジタルヘルス」では、ヘルスケア領域への参入を促す基盤となるデータ連携のほか、国内スタートアップ支援といった必要な措置を講じる。

     今回の戦略見直しに当たっては経団連、自民党、JBAから提言があった。

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