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  • APIC、ソウルで開幕 供給過剰とサステナ焦点に
  • 2024年5月31日
    • ポッター氏は成長と脱炭素化への投資が必要と語った
      ポッター氏は成長と脱炭素化への投資が必要と語った
     【ソウル=井上諒】石油化学業界の国際的な一大イベントである「アジア石油化学工業会議(APIC)2024」が30日、韓国のソウルで開幕した。開催テーマは「サステナブル時代の先駆者へ」。50年のカーボンニュートラル(CN)社会実現に向けて構造転換が求められるなかで、利ざやの圧迫に直面する石化産業は、次代のビジネスチャンスをどこに求めるか。各国の企業のリーダーや有識者らが議論する。

     ソウル市内のグランド・インターコンチネンタル・ソウル・パルナスホテルできょう31日までの2日間、開催する。2日目の本会議では、日本の石油化学工業協会の岩田圭一会長(住友化学社長)はじめ、APICに加盟する7カ国・地域の業界団体トップが環境認識や取り巻く課題についてスピーチする。

     初日には、主要な調査会社によるマーケティングセミナーが開かれた。アーガス・メディア、ICISなど4社から計16人が登壇。世界の石化産業の現状や展望、オレフィンやアロマの事業環境、サステナビリティなどが話題に上った。

     S&Pグローバルコモディティインサイツのトニー・ポッター氏は、中国による大規模な新増設により、世界の石化製品は「明らかに供給過剰」であるうえ、「今後も同国が石化への投資を抑制することはないだろう」として、少なくとも28年まで供給過剰が続くとの展望を示した。他方、インドをはじめとする新興国では、エチレン誘導品の供給能力不足は拡大が続く見込み。「成長と脱炭素化の双方への投資が必要」と語った。

     APICの開催は、前身の東アジア石油化学工業会議(EAPIC)時代を含め、今回で42回目。日本、韓国、台湾、マレーシア、タイ、シンガポール、インドの7カ国・地域の持ち回りで開催している。韓国での開催は、15年以来9年ぶり。
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