4社が連携するセル・電極の金属リサイクルプロセスの概要図
旭化成は23日、カ性ソーダと塩素の製造で使用する貴金属のリサイクルに向けた商業規模での実証開始を発表した。欧州最大級のクロールアルカリ企業である蘭ノビアンと英の金属リサイクラーのマスターメルト、白金族金属(PGM)の世界大手メーカーであるフルヤ金属と連携し、イオン交換膜法食塩電解プロセスのセルや電極に使用されるイリジウム(Ir)とルテニウム(Ru)の水平循環を実現する。旭化成によると世界初の取り組みとなる。2026年度からの商業運用開始を想定した実証に加え、リサイクルのコスト分担についても議論を進める。
イオン交換膜法食塩電解プロセスは、食塩水を電気分解し、塩素、水素、カ性ソーダを生産する。旭化成は同システムの販売で世界シェアトップ集団に位置する。1975年に販売開始して以来、30カ国160工場以上で採用されている。
同プロセスで使用する電極は、陽極ではチタン基材にIrとRuを使用し、陰極ではニッケル基材にRuを使う。電極は2・7平方メートルサイズとなることからIr、Ruとも使用量が特に多い用途となる。両金属とも産出量に限界があるとともに、Irは固体高分子膜(PEM)型水電解など他用途での使用量増加も想定できることから、旭化成の角佳典交換膜事業部長は「将来にわたる両金属の安定確保が優先的な課題」と認識する。
実証では、ノビアンで8年程度となる耐用年数を経過した電極をマスターメルトで解体する。その後フルヤ金属でIrとRuを抽出・高純度化し、旭化成の延岡地区(宮崎県)でこれらの貴金属を原材料とした触媒を塗布した「リサイクル触媒電極」を製造する。旭化成では、商業運用開始後に電極ユーザー数を広げていく考え。
旭化成では、今後のリサイクル展開に必要なトレーサビリティーの確立や国際認証の取得を検討する。将来は貴金属ともにチタンやニッケルの再利用にも取り組む考え。