• 放熱シートの新製品「アデカフィルテラ TG―33」は高い熱伝導率と電気絶縁性、耐熱性などを兼ね備える
      放熱シートの新製品「アデカフィルテラ TG―33」は高い熱伝導率と電気絶縁性、耐熱性などを兼ね備える
     ADEKAは、電子部品の熱対策に使う放熱シートで高い熱伝導率と電気絶縁性、耐熱性などを兼ね備える新製品を開発した。エポキシ樹脂メーカーとして培った樹脂の配合設計技術と、放熱性フィラーへの独自の表面処理技術を組み合わせることで高い性能を持つ製品に仕上げた。電動化や電装化が進む車載分野に照準を合わせ、世界最大の電気自動車(EV)市場である中国や韓国、日本などの顧客を開拓。2027年に量産販売し、35年までに放熱シートとして年50億円の売上高を目指す。

     放熱シートは放熱性能を持つ金属ベース基板の絶縁層や、金属ベース基板と放熱部材の間に挟んで半導体素子などの発熱体が発する熱を効率良く伝える役割を担う。ADEKAは放熱シート「アデカフィルテラ」シリーズの新製品「TG―33」を開発した。

     新製品は放熱性能を示す熱伝導率が13ワット/メートル・ケルビンと、高熱伝導率とされる10ワット/メートル・ケルビンの性能を持つ同社の従来製品を上回る。耐熱性を示すガラス転移点は300度C、電気絶縁性を示す絶縁破壊電圧は6・0キロボルトで従来製品と同等の水準を実現。高温・高湿の環境での耐久性や、アルミニウムや銅など各種材料との高い接着性も兼ね備える。

     薄くて柔軟性を持つシート材料で凹凸や曲面、狭小のスペースなど複雑な形状に対応できる。200度C以下の温度で硬化・接着するため、ネジ止めやはんだでの接合・接着も不要となる。エポキシ樹脂の配合設計を工夫し、放熱性フィラーに独自の表面処理を施すことで性能を引き上げた。

     自動車の電動化・電装化を受けて、電子制御ユニット(ECU)やインバーターといった用途で車1台当たりの電子部品の搭載点数が増えている。車載システムの制御用で電力損失が少なく高温動作が可能な炭化ケイ素(SiC)製などの次世代パワー半導体の普及も進む中、主に車載分野で高い熱伝導率や耐熱性、電気絶縁性などを兼ね備えた放熱シートの需要が高まることを見据えて新製品を開発した。

     世界最大の中国EV市場の開拓に向けて、現地で自動車部品や金属ベース基板などを手掛ける企業にサンプルを提供し、多くの企業から良好な評価を受けているという。併せて、韓国や日本、台湾などの市場も開拓する。各国・地域での需要状況に合わせて、地産地消型の生産体制の整備も検討する。

     矢野経済研究所は放熱部材の世界市場が28年に23年比67%増の6279億円に拡大すると予測する。自動車の電装化やEVの生産拡大、データセンターの普及などが市場拡大をけん引する。

     ADEKAの放熱シートはこれまでエアコンといった民生機器分野を中心に電機メーカーなどで採用されてきたが、新製品を武器に車載や産業用機器など幅広い分野で採用を広げる。高熱伝導率(10ワット/メートル・ケルビン以上)の放熱シート市場で現在約10%のシェアを35年までに20~30%に引き上げることを目指す。
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