カナダ・アルバータ州にあるエチレン拠点
米ダウは1月29日、カナダ・アルバータ州のネットゼロエチレン計画「パス2ゼロ」の稼働を2029年後半へ延期すると発表した。パートナー企業との協議や市場環境の再評価を踏まえ、2年の後ろ倒しが最も価値を最大化すると判断した。詳細設計や長納期の機器の調達はすでに完了し、総投資額の約3割が執行ずみ。
当初65億ドル(約1兆円)としていた投資額が最大75億ドルになる見通しを示した。建設期間が延びることで借入金の利息が追加で発生することが主な要因。プロジェクトを単独で継続する予定としつつ、価値向上につながるあらゆる選択肢を検討していく考え。
投資回収率は現時点で8~10%を確保できる見込み。低炭素品のプレミアムは織り込んでおらず、1~2%の上振れ余地があるとする。
同日発表した25年10~12月期決算は、売上高が前年同期比9・1%減の94億6000万ドル、営業EBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)が同38・5%減の7億4100万ドルだった。販売数量が同2%減、価格が同8%減となった。1株当たり損益は34セントの損失となった。
セグメント別では、包装材・特殊プラスチック事業部門が価格の下落で減収だった。工業中間体・インフラ事業部門は建設や自動車市場の低迷が続いた。
26年の見通しについては、マクロ環境に混在した指標がみられるものの、建設・インフラの一部で回復傾向にあり、ポリエチレン需給の改善など明るい兆しもあるとした。26年1~3月期の営業EBITDAは約7億5000万ドルを見通す。
新たな構造改革「アウトパフォームへの変革」も始動した。世界の全従業員数の1割強に相当する4500人を削減し、EBITDAで20億ドル超の改善を目指す。3分の1を新たな成長、3分の2を生産性の改善で実現する。変革にともなう一時費用は11億~15億ドルと見込む。
ジム・フィッタリング会長兼最高経営責任者(CEO)は「26年は回復力のある成長への転換点」と強調し、「アウトパフォームへの変革は新たな価値創造の中心的な原動力となる」と述べた。コスト構造の再構築や資本配分の最適化を通じ、収益基盤の強化を進める。