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  • 東洋合成工業、安全な危険物荷役に向け講習会開催
  • 2023年10月23日
    • 事故につながるオーバーフローを防止するための実演を披露
      事故につながるオーバーフローを防止するための実演を披露
     東洋合成工業はこのほど、高浜油槽所(千葉県市川市)構内においてコロナ禍で中断していたオーバーフロー実演講習会を4年ぶりに開催した。同油槽所に液体化学品を貯蔵している化学メーカー、化学品商社の16社(38人)が午前の部と午後の部に分かれて参加し、安全な荷役のためにオーバーフローが発生する原因やその対策方法を学んだ。危険物の荷役はドライバーへの負担が大きいが、発・着荷主になる工場や油槽所の協力姿勢が未然に事故を防止するうえで重要な要素になるとしている。

     同社はドライバーの手で荷役を止められる一時停止設備「とまるくん」を同油槽所にあるすべての充填レーンに3年前から設置している。そのほか監視カメラを設けてオーバーフローの原因究明や安全対策につなげているほか、毎月第3火曜日を安全強化日に指定しドライバーへの啓蒙活動を実施している。

     オーバーフローとは、タンクローリーの車両上部にあるハッチから液体が溢れ出てしまう現象。ローリーは搭載するタンクの内部が何室かに仕切られており、通常は車体の前後バランスを考慮し均等容量に分けて内容物を入れる。吐き出し配管はローリー車両の左右にあり、工場や油槽所にあるポンプ設備につなげ出し入れする。ドライバーはハッチから液面を監視することが義務付けられている。

     講習会では、まずオーバーフローが発生した事例を2つに分けて説明した。1つはハッチを開けたまま作業を行う開放荷役の際に起きた事例。ローリーへの積み込み時に均等に分けてタンクに入れるべきところに数量計算を間違えたことに加え、液面監視が不十分だったことで液体数リットルが車両上部に漏れた。

     原因としてタンクへの積み込み数量計算ミスおよびドライバーの液面監視が不足していた。対処方法として、漏出する可能性がある場合には充填レーンの上部に張られているロープを下に引っ張ることで設備稼働が一時停止するとまるくんをドライバーには躊躇せずに使用してほしいと要望した。

     もう1つはハッチを閉めて作業を行う密閉荷役の際に起きた事例。ローリータンク内にある液体を排出するためのバルブ(底弁)の操作ミスによりベーパー(蒸気)が車両上部にある安全弁から吹き出しドライバーがガスの暴露を浴びた。ベーパーは目に見えないがタンクの内圧によりガス濃度は数百倍にもなり静電気による爆発の可能性や、ベーパーを浴び続けることによるドライバーへの健康障害の恐れもある。

     最後に「オーバーフローを防ぐにはドライバーだけの責任にしないで輸送にかかわる荷主や工場、油槽所の人間が理解し共感して協力することが必要になる」(同社)と呼びかけた。講習会後は、実物のタンクローリー車両を使い、オーバーフローの実演などを行った。
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