•  日揮グローバルは、日系企業が計画する半導体・電気自動車(EV)電池関連製品の海外生産プロジェクトに対する支援を強める。半導体・EV部材プラントは同社にとっては新規事業分野だが、海外のエネルギープロジェクトにおける豊富な経験や、医薬品原薬プラントなど複雑なプロセスをともなうプロジェクトの実績を生かし、日系企業の海外進出に対応していく。国内でサプライチェーン(SC)強化に動いている米国を重点市場としており、欧州も含めすでに十数件の案件を受注している。

     日揮グローバルは日揮グループで海外事業を担っており、今期、事業分野を4つに整理した。その一つであるファシリティソリューションズは、産業分野と社会インフラを対象とし、とくに投資が活発化していくと予想される半導体、EV、環境素材関連設備で受注拡大を目指す。

     米国では経済安全保障の観点から、自国内での先端半導体、EV電池部材のSC強化が進められようとしており、インテル、テスラなどの有力企業は部材メーカーに米国進出を求めている。日系部材企業もSCにとどまるためには米国生産を検討せざるを得ない状況にある。

     しかし、日系部材企業は自社開発した技術秘匿性の高い製品についてはこれまで国内生産にとどめていたため、海外で生産することに躊躇がある。技術流出の不安がなく、難易度の高いプロセス設備を工期通りに建設するエンジニアリング会社を必要としている。

     日揮グローバルは医薬原薬プラントなどの経験から電子材料など高機能化学品プロセスへの理解が深く、プロセスの改良や設備のスケールアップ提案を得意としている。また、現地エンジニアリング会社と協業してプロジェクトを遂行することで、州ごとに異なる法規制や許認可への対応や、建設段階の人的リソースを確保することに自信がある。

     現在実施している案件は、ほとんどが現地パートナーとの協業案件。米国ではEV用蓄電池部材の生産設備に関する基本設計見積もり、事業構想作成支援、環境素材設備の事業化調査(FS)支援など複数の案件を実施している。欧州でもEV用蓄電池部材設備の基本設計などの案件を、東南アジア、中東では環境素材の基本設計を実施している。初期段階のプロジェクトばかりではなく、立地は非公表だが半導体用化学品プラントの設計・調達・建設(EPC)も2件実施中。

     新規の引き合いも複数件受けており、今後、計画作成支援、EPCへとつなげていきたい考えだ。同社は2025年までに産業・社会インフラ分野のEPCで事業規模600億円を目指しており、半導体・EV関連はその過半を見込んでいる。
いいね

  • ランキング(エンジ・機械)