仏ユーロテナーの親会社である仏エルメワは4月11日から「ストリーム」というグループ全体のブランドを立ち上げた。その狙いやISOタンクコンテナ事業の足元の状況、事業戦略などについて先ごろ来日した仏ユーロテナーのフランソワ・バトゥー アジア・パシフィック ゼネラルマネージャーに聞いた。

    ▼…ブランドを立ち上げた狙いは何ですか。

     「エルメワグループには、タンクコンテナのリースをしているユーロテナーとラッフルズ・リース、貨車のリースをしているエルメワ、メンテナンスデポのデミ、貨車メンテナンスのインべオの5つのビジネスユニットがある。ブランド名は、グローバルで認知されやすく、またタンクコンテナや貨車が製品を運ぶダイナミズムや、われわれの目標の1つであるカーボンフットプリントの削減に対応しつつ、グローバルでみられるモーダルシフトの流れを表現している。また2030年までに収益倍増という目標に向かって、変わっていくというグループ全体の目標も含んでいる。目標達成に継続的に投資しており、昨年は1万2000基のタンクコンテナを購入した。既存ビジネスの拡大に加え、M&A(合併・買収)による成長も含む」

    ▼…今年のタンクコンテナ業界の市場動向は。

     「22年のタンクコンテナ市場は堅調で、各セグメントともに非常に強い需要があり、リース価格もリース本数も多かった。23年上半期もグローバルとしては堅調であったものの、下期、とくにここ数カ月前からタンクリースの需要は減速している。原因は複数ある。1つにはコロナ禍におけるサプライチェーン混乱に対応するため、各業界(自動車、パソコンなど)が前倒しして在庫を確保してきたが、コロナ禍の終息によってパソコンなど最終製品の需要が落ち込んでしまったことにより、われわれのタンクコンテナが運んでいる最終製品の原料の需要自体が落ち込んでいることが挙げられる。加えて世界経済が減速に転じていることもある。中国やヨーロッパの化成品業界に減速を感じており、とくに中国において状況が芳しくない。われわれは一般的に経済状況に左右されにくい特殊機材が中心であり、スタンダードなタンクコンテナをリースする会社ほど大きな影響を受けていないが、それでも中国での機材返却は多い。この傾向は24年中盤まで続くとみている。一方でドラムやフレキシブルバッグからより安全で環境負荷の低いタンクコンテナへの転換は続き、長期的に安定した成長を続けていくとみている」

    ▼…アジア・太平洋地域の戦略は。

     「特殊タンクのパイオニアを目指している。特殊タンクの顧客ニーズに対応するべく、タンクコンテナ、小型ポータブルタンク、MEGCなどへの投資に加え、それら特殊機材への継続的なメンテナンスサービスを提供するため、デポへの投資も重要と考えている。実際にオランダのデミ社を数年前に買収してビジネスユニットに加え、ヒューストンとロッテルダムにメンテナンスデポを持っている。世界のタンクコンテナ市場は、今は踊り場だが、長期的には年率5%で成長していくと考えている。日本においては原料を含めた半導体関連への投資が盛んであり、今後もこのセグメントの機材需要はさらに旺盛になっていくとみている」(聞き手=長田龍馬)
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