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  • ホウ砂・ホウ酸、国内に一部値上げ機運
  • 2023年10月31日
  •  ホウ砂・ホウ酸は、国内の一部で値上げ機運が高まっている。昨今の円安進行や輸送費などの上昇が収益を圧迫しているとして、一部輸入業者が値上げの検討に入った。足元では中国などの景気減速にともない市場成長が鈍化していることもあって、ロシア品離れが進んでいるなかでも需給は均衡で推移。ただ無水ホウ砂など一部製品は供給に余裕のない状況が続いており、今後の動向によってはタイト化する可能性もあるようだ。

     ホウ砂・ホウ酸は米国やチリ、ロシア、トルコなどに産地が偏在している。こうしたなか昨年、米国大手1社がフォースマジュール(不可抗力による供給不能)を宣言。ロシアによるウクライナ侵攻により先進国間でロシア品離れが進んでいるなか、各国で物流網の混乱による影響も相まって需給がタイト化し、昨秋には過去最高額を更新した。この動向を受け、一部サプライヤーがインフレにともなう製造コスト増などを理由に値上げを通告した。

     国内でも、輸入業者による輸送費なども含めた調達コストアップ分の価格転嫁が進み、昨年の値上げはおおむね浸透した。今年に入ってからは価格に大きな変動もなく横ばいとなっていたが、昨今の大幅な円安進行が輸入業者の事業収益を圧迫。加えて輸送費なども一段高となっていることから、一部企業が来年の年明けをめどに値上げを実施する検討に入ったようだ。

     足元の供給は、一昨年以降のウクライナ侵攻に起因したロシア品離れの影響を受け、国内外で細った状況が続いている。一方、需要も主要消費国の中国を中心にTFTガラスやグラスウール向けなどの市場成長が景気減速を受けて鈍化。両製品ともに需給が均衡しているうえに物流網の改善もあり、騰勢は弱まっている。

     ただ、無水ホウ砂のようにサプライヤーが限られている一部製品は、旺盛な需要を背景に「国内外で供給に余裕がなくなってきている」(市場関係者)ため、今後の動向によってはタイト化する可能性も指摘されている。
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