竹中工務店と竹本油脂は、高流度・無収縮タイプのコンクリート「ファインリードF」を開発した。施工性の改善やひび割れ抑制などが図られ、品質・耐久性向上と省力化に貢献する。今年2月に竣工した代々木参宮橋テラス(東京都渋谷区)に初適用、竣工後半年以上を経ても美観を維持していることを確認。高い意匠性を求める建物や一般的なコンクリートの充填が難しい改修・補修工事などの用途などに提案していく。

     新たに開発したのは、コンクリートの流動性を高める混和剤、収縮・ひび割れを低減する混和剤、減水・分散性を高める混和剤など複数の混和剤を混ぜ合わせて1つにした一液型の高性能AE減水剤。乾燥収縮の小さい石灰砕石が利用可能な全国の生コン工場で市販の膨張剤と新開発の混和剤を通常の混和剤と同様の方法で添加することで、容易に高粒度・無収縮コンクリートが製造できる。

     高い流動性は、バイブレーターなどコンクリートの充填・締固めに要する労力や時間が大幅に削減でき、施工性を大きく改善できる。また、硬化後に収縮がほとんどない(無収縮)ことは、骨材などの材料の分離とひび割れが抑制され、中性化も遅らせることができることが分かってきており、品質の向上(美観の維持)、耐久性の向上につながる。

     高流度と無収縮の混和剤を現場で組み合わせて実現する手法はあったが、現場で混ぜ合わせるには複数の工程が必要となり、技術力も求められていた。

     ファインリードFは一液で容易に製造できる国内初の高流度・無収縮コンクリートで、施工の省人化、品質・耐久性向上が図られる。強度や硬さ(ヤング係数)などは普通のコンクリートと変わりない。

     建築業界においては、地球環境の観点から建築物の品質や長寿命化という視点とともに施工の省人化や技能熟練工不足への対応が求められている。同社では用途・ニーズに応じた高機能コンクリートを提案することで環境への対応を図るとともに顧客ニーズにこたえていく。
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