四日市工場に設置されたmanaboniには7月末、海外学生が訪れて各種企画を楽しんだ
DICは市民への環境啓発活動の一環として、ポリスチレン(PS)リサイクル体験の提供を始める。四日市工場(三重県四日市市)に新設した環境学習室に模擬コーナーを整備し、自社開発した固液分離プロセスなどを再現。最終的には代用素材を使ったペレット化まで一貫したプログラムを組む考えだ。プラスチック資源循環の実効性向上に向け、学校生徒・教員向けの見学会などと合わせて市民への知識定着を図る。
DICは2024年11月に色柄付き発泡PSトレーをリサイクルする「デインキング・ケミカルプロセス(Dic法)」の処理設備を稼働させた。環境学習室「manaboni(マナボニ)」はこれと同時にオープン。すでに処理プラントの見学会に際して座学コーナーの開催場所などとして活用されている。
体験提供の幅を広げる検討が進み、Dic法をわかりやすく可視化した模擬コーナーが近く開設される予定だ。最も川上に当たる破砕プロセスはすでに準備され、足漕ぎ式シュレッダーを設置。PETボトルキャップなど色柄付き成形品の破砕体験はいまでも楽しめる。今後は溶解・再重合・ペレット化にいたる川下プロセスを足していく考えで、安全な代用素材を使ったさまざまなギミックを組む。とくにこの途中にある固液分離はDic法の要と言える工程で、ごく一般的なろ過とどう違うかが見物だ。
体験を記憶に残す仕掛けもある。記念品として実際の再生PSを流し込んでつくる傘マーカーを配る予定で、近い将来は社会科見学の有力スポットになるかもしれない。現時点でもオープンスペースのような空間に40人ほど収容でき、地元の学校教員を招いた環境学習活動が始まっている。
市と結んだ包括連携協定に基づき、直近では中学校の社会科教員が30人ほど来訪。近く理科教員が見学する予定もある。DICは並行して進める出前授業を埼玉県などで開いた実績があるが、地元ではまず教員層への知識普及を開催の呼び水としたい考えだ。最近では国際色も高まり、7月末に市が主催した「令和7年度 高校生地球環境塾」のカリキュラムとして海外の高校生が来訪。姉妹都市・友好都市提携を結ぶロングビーチ市と天津市からやってきた生徒たちが「CO2ダイエット作戦」と題した企画を楽しみ、地元高校生とも交流を深めた。
<回収ルートの周知徹底重要>
こうした啓発活動の重要ポイントとなるのは、「回収ルートの周知徹底」だ。日本の公的回収はプラ資源循環促進法のもとで大きく変わり、「容器包装プラ」と「製品プラ」の一括回収に乗り出す自治体が増えてきた。だが地方自治の原則と早期実装ニーズの間でバランスをとるためには、「民間回収ルート」を最大限活用することが実効性の高い施策となる。
例えば四日市市の公的回収では食品容器包装が可燃ごみとされるが、市も民間ルートの重要性を認識。ごみの品目別一覧表にある白色トレーの欄には「できるだけスーパーなどの回収ボックスを利用」との記載がある。いまや白色品と色柄付きトレーは同じ回収ボックスに持ち込まれることが多く、Dic法のように技術的な解決も図られつつある。容器包装リサイクルは着実に実装ステージへと移行しており、将来世代と意識共有が進めば黎明期を脱するのも遠くないかもしれない。