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  • セルシード、再生医療CDMO拡大期
  • 2025年9月30日
    • 東京都江東区の細胞培養センター。細胞培養シートの培養トレーニングや申請文書作成、コンサル、製造受託などで顧客支援に努めている
      東京都江東区の細胞培養センター。細胞培養シートの培養トレーニングや申請文書作成、コンサル、製造受託などで顧客支援に努めている
     セルシードの再生医療関連の開発・製造受託(CDMO)事業が拡大期に入ってきた。6月に都立病院が実施する自由診療のための食道再生上皮シート製造受託の準備を整えた。8月には食道がんを対象とした細胞ワクチンの治験製品の製造受託に向けた技術開示などで契約を結ぶなど、細胞シート以外の製造受託も緒に就いた。今後は自由診療領域の受託事業も拡大するなど、CDMOとしての幅を広げていく考えだ。

     アカデミアなどが優れた技術開発をしても、再生医療等安全性確保法(安確法)の下での基礎・臨床研究から、医薬品医療機器等法(薬機法)下での非臨床試験や治験、製造へとステージを移すには大きなギャップが存在する。セルシードはステージアップの「橋渡し」をする再生医療受託事業サービスを展開し、東京都江東区のテレコムセンタービルに細胞培養センターを設け、2017年3月に特定細胞加工物製造許可、18年10月に再生医療等製品製造業許可を取得。細胞培養シートの培養トレーニングをはじめ、各種申請の際の文書作成支援やコンサルティング、細胞シート製品の製造受託などを手がけている。

     これまでは、東海大学が実施する先進医療B向けの自己軟骨細胞シートや、先天性食道閉鎖症術後の小児を対象とした再生医療のための自己上皮細胞シートの受託製造実績を積み上げ、23年は過去最高の売り上げを記録した。

     CDMO事業は新たな引き合いも増えてきた。今年6月に製造受託に向け準備が整ったのが、都立病院機構の多摩北部医療センター(東京都東村山市)が実施する自由診療に供する自己口腔粘膜上皮細胞シートの製造だ。同センターは消化器外科で食道再生上皮シートによる食道狭窄治療を世界で初めて、自由診療で行う。食道がんの治療に際し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行った直後の患者やESD後の難治性狭窄の患者に対して、細胞シートをがん除去後の創傷部分へ移植することで食道狭窄を抑制・防止する治療だ。

     セルシードは、患者の口の中の粘膜組織や血液を採取し、細胞を培養して直径約2センチメートルのシートを製造する。再生医療等提供関連書類の作成など自由診療の開始に必要な手続きなどの支援はすでに完了しており、製造開始を待つ構えだ。

     他方、8月には個別化医療に対する新規薬剤や治療法の臨床開発を手がけるNPTが、再生医療等製品として開発を進める、食道がんを対象とした個別化樹状細胞ワクチンの治験製品の製造受託に向けた技術開示等に係る契約を結んだ。NPTは、樹状細胞ワクチンを用いた食道がんに対する第1/2相臨床試験(P1/2)の治験計画届書を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、受理された。セルシードはNPTの技術情報の開示を受け、当該ワクチンの製造管理に係る技術および情報を検証。治験段階に備え、製品の製造受託契約締結に向けた準備も進めている。

     同社は、再生医療事業への参入を本丸と位置づけ、当該事業が立ち上がるまでの期間は、細胞培養器材や受託サービスからなる再生医療支援事業を先行して進める。橋本せつ子社長は「今後は自由診療領域などへも積極的に参入し、CDMO事業の幅を広げていきたい」と述べる。
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