•  三酸化アンチモン(ATO)の世界最大手、キャンパイン社(ベルギー)は原料ソースの多様化と使用ずみ電池からの金属アンチモン回収により、ATOの安定供給と環境対応の強化を図る。ATOは原料鉱石を持つ中国が輸出規制をかけ供給不安が起きかねない状態にある。キャンパイン社は原料の81%を非中国品、15%を再生品が占め、2030年までには再生品を50%に引き上げる。日本では総代理店のキンセイマテック(大阪市)を通じ、自動車や電子ケーブルといった産業向けに供給を拡大しており、日本でのシェア約10%を今後は20%に拡大することを目指す。

     アンチモンを巡っては鉱石を保有し圧倒的なシェアを持つ中国が金属アンチモンおよび粉末品に対し許可制を導入、難燃剤向けなどに用いるプラスチック業界などでは、供給不安が懸念されている。

     キャンパイン社は早くから原料ソースの非中国化を進め、現在は81%をタジキスタン、タイ、ミャンマー、ベトナム、トルコなど中国以外の国から調達している。また同社では鉛再生事業も展開しており、その一環として鉛蓄電池などから自社で金属アンチモンを回収。使用原料の15%を再生メタルが占め、マスバランス方式による二酸化炭素(CO2)低減製品を手がける。

     同社のアンチモンメタルの再生設備は現在、ベルギー工場に2炉ある。2026年には再生炉を3炉に増やし、再生メタル使用率を現在の15%から27年に30%に拡大。さらに投資して再生炉を増やし、30年までに50%に引き上げる。日本の旺盛な需要に応えるため、三酸化アンチモンの年産能力は今年の第3四半期(7~9月期)までに6000トン増の1万8000トンに増強した。

     同社は粉末品をはじめマスターバッチ(MB)まで一貫して生産する強みを生かし、MBで90%という高濃度配合を実現するほか、コンパウンド時の焦げ(黒点)の発生・混入を防止できる製造など高い品質にも定評がある。種類も汎用樹脂からポリアミドなどエンプラまで対応、ラインアップは多岐にわたる。

     粉体加工メーカーで総代理店のキンセイマテックは、中国原料比率が高い国内向けにキャンパイン製ATOおよびMBの拡販を進めており、26年3月期は以前から目標としていた50億円の販売を見込む。中国の輸出規制もあって引き合いは増えており、原料転換に消極的だった企業からの問い合わせも多い。
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