• グズマン氏
      グズマン氏
     米国化学会の情報ソリューション部門であるCASは、化学や素材分野向け情報ツール「CAS SciFinder」と創薬などライフサイエンス研究を支援する情報ツール「CAS BioFinder」の両方のコンテンツにアクセスできる新規プログラムを開始する。それぞれ別々のコンテンツとして提供していたが、包括的なデータに基づく知見を得たいとする顧客のニーズに対応し、一つのコンテンツとして提供する。顧客が持っているデータも組み入れ、CASで独自に解析して新規化合物や素材創出を支援する新サービスも計画する。

     CASプレジデントのマニュエル・グズマン氏が化学工業日報の取材で明らかにした。「コンテンツ全体を提供することで、エンドユーザーだけでなくDXを統括するチーフテクノロジーオフィサーなどが組織全体のデータをどう運用していくかを検討するうえでベネフィットが出る」と語る。

     CASは世界中のジャーナル(学術雑誌)論文やオープンデータなどから情報を収集し、データベース化したものを研究者向けに有償で提供する非営利団体。異なるそれぞれの情報源をすべて統一してインデックス化し、検索しやすい情報ツールとして独自に加工する技術が強みだ。CAS SciFinderは企業や大学などグローバルで約6000~7000機関、日本でも600~700機関に提供した実績を持つ。自然言語での質問に対応するAI検索機能の導入も進めている。

     昨年からはライフサイエンス領域をカバーしたCAS BioFinderを始動。化学との親和性が高い低分子の合成研究に関するデータベースの提供からスタートし、バイオ医薬品や抗体薬物複合体(ADC)とモダリティの幅を順次広めている。グズマン氏は「進化している途上だが、高い評価をいただいている」と好調な滑り出しを強調。SciFinderを活用していた顧客がBioFinderも新たに契約することで、より包括的なデータベースから新しい知見を得ようとする動きもみられているとして、「根底にあるコンテンツは両者で共通している部分もある。両方アクセスできる環境作りは、顧客との良い関係構築につながる」。

     さらに、顧客がこれまで蓄積した研究開発に関するデータベースをCASのプラットフォームにアップロードして、より広範囲な統合データベースから研究開発を支援するサービスも計画。「顧客が持つデータも膨大であり、統合することで新たな答えを導こうとしている」と話す。
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