化学・素材メーカーのヘルスケア関連領域の2025年4~9月期決算が出揃った。主力製品の拡販などで8社のうち4社が増収増益を確保した。なかでも住友化学は、事業再建が進む住友ファーマが貢献し、他製品の数量減少などをカバーして大幅増益となった。帝人は薬価改定などが影響し減収となったが、収益性改善施策などの効果発現で事業利益が大きく改善した。他方、一部製品需要の減少や原料高騰、円高影響などにともない3社が減収減益となった。
住友化学は、アグロ&ライフとアドバンストメディカルが対前年同期で減収減益となったものの、住友ファーマが業績を大きく改善し、領域全体の増収増益を達成した。住友ファーマはアジア事業売却益や、北米基幹製品の前立腺がん治療薬「オルゴビクス」の拡販と、それにともなうマイルストーン収入などが寄与し、コア営業利益は前年同期比943億円増の973億円だった。アグロ&ライフは、海外農薬の交易条件が改善した一方で、海外農薬の出荷減少や円高による影響で上期のコア営業利益は同29億円減の112億円だった。アドバンストメディカルは一部製品の出荷タイミング差による数量減などが響き、コア営業損益が同17億円減の14億円の赤字に転落した。通期予想はアグロ&ライフ、アドバンストメディカルは据え置いたが、住友ファーマは上期の好調を織り込み上方修正した。
旭化成は医薬・ライフサイエンス事業の主力製品の販売量増加や、買収した欧製薬カリディタスの新規連結の効果が寄与し、同事業の営業利益は同143億円増の401億円に拡大した。クリティカルケア事業は除細動器の販売量が減少し営業利益は同74億円減の115億円だったが、医薬・ライフサイエンスの伸長が上回り、事業譲渡による減益影響が生じたものの、これを跳ね返してヘルスケア領域は大幅増益となった。医薬・ライフサイエンス事業での拡販などを理由に通期予想を上方修正した。
富士フイルムホールディングス(HD)は、デンマークで新規設備が稼働したバイオ医薬開発・製造受託(CDMO)事業の売上高が同243億円増の1195億円となり増収を牽引した。メディカルシステム事業では日米欧など主要市場で販売が好調に推移し、内視鏡や医用画像情報システム、血液生化学検査で売り上げが増加するも、中国での医療材料の需要減や円高影響から同事業は減収となった。ライフサイエンスソリューション事業では、市況回復にともなう培地・試薬の拡販や新型コロナウイルス国産ワクチンの治験薬受託製造の増加などにより売り上げが増加した。
カネカは、メディカル事業で血液浄化器やカテーテルの拡販が増収増益に寄与した。下期には日本ゼオンから消化器・循環器領域の医療器事業を譲受し、事業基盤強化によるさらなる成長を目指す。他方、ファルマ事業はバイオ医薬品の定修影響や販売案件のずれ込みにより上期も低調が続いた。今後、低分子・バイオ医薬品の新規案件の実績化が進むことが期待され、下期以降に収益が大きく回復する見通し。通期予想は売上高、営業利益とも下方修正したが、対前年では増収増益を確保する計画だ。
帝人は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)機器の台数増加や事業構造改革による固定費削減効果の発現などにより増益となった。CPAPは検査数増加にともない新規処方件数が拡大し、レンタル台数の増加につながった。医薬品事業では糖尿病治療剤や高尿酸血症薬「フェブリク」の販売量が減少したが、骨粗鬆症薬「オスタバロ」の販売が伸長した。
三井化学は、ビジョンケア事業、農薬事業を中心に堅調に推移し販売数量が増加したが、オーラルケア事業は昨年後半の在庫調整の影響から販売量が減少した。円高による為替差損や大牟田工場の製造設備の稼働停止による固定費の計上が響き、上期は減収減益となった。大牟田工場ではライフ&ヘルスケア領域を中心に20億~25億円程度の影響が生じたが、下期以降挽回生産を行うとしている。
積水化学も上期に海外検査需要の低迷が続いたことから減収減益となった。医療事業では、主要原薬や創薬支援事業が堅調に推移したことで売上高が伸長したが、検査事業における米国の重点感染症検査キットの需要減や大手顧客向け製品の出荷減、中国市況や国内の検査薬需要の低迷が響いた。通期業績は、売上高を期初予想比14億円減の946億円、営業利益を同31億円減の114億円に下方修正した。
東レは、医薬事業において中国を中心に海外販売が伸長したが、国内のジェネリック医薬品(後発薬)浸透の影響を受けた。医療機器事業では、主力の血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が堅調に推移した一方で、カテーテルなどの販売が伸び悩んだほか、原材料価格の高止まりの影響を受け、ライフサイエンス領域は減収減益となった。通期では、医薬品の国内薬価改定影響を受けながらも、診断薬の販売が収益に寄与する見通し。医療機器もダイアライザー付加価値品の増販や透析装置の拡販を図り、通期の事業損益を改善する見通し。