<ケミマテ2025>
トヨタ自動車は、クラウド型マテリアルズ・インフォマティクス(MI)において、AI(人工知能)技術を活用した新機能を追加する。自社開発の材料解析プラットフォーム「WAVEBASE(ウェーブベース)」にAI技術を用いた画像推論機能を新たに搭載する。顕微鏡画像に映る特徴的な形状を持つ微粒子の条件を入力することで、その条件に当てはまる粒子の情報を高精度かつ高効率に抽出することができる。これにより「従来必要であった蓄積した画像データによる機械学習が不要になる」(同社)。この画像解析機能を含めた、研究開発プロセスの高度化、効率化に貢献する複数の新機能を2026年3月に導入予定。
ウェーブベースは、スペクトルや画像データといった実験結果から抽出した特徴量を相関解析する。自動車材料開発で培った知見・ノウハウを取り入れたアルゴリズムをベースとしており、利用者の熟練度に関係なくデータに内在する情報に基づいた客観的な解釈を可能とし、課題解決に必要となる次のステップにスムーズにつなげることができる。統計的に活用しやすいデータの構造化、再使用を想定したデータベース構築にも活用できる。22年度のサービス開始以来、住友ゴム工業やトクヤマ、東亞合成、日東電工、京セラ、豊田合成、プライムプラネットエナジー&ソリューションズなどで実績がある。
画像情報の抽出機能は、形状やサイズといった特徴を指示または少数事例を提示することで、目的の物体だけを検出することを可能にする。この機能により、ユーザーの注目している情報に着目した解析が可能になる。検出結果からサイズ分布やアスペクト比といった情報をまとめることも可能となる。
他の新機能としては、解析でのトライアンドエラーを含め解析履歴を記録する「ワークフロー機能」を開発。データの前処理、特徴抽出、予測モデル構築といった複数ステップの処理の流れを俯瞰的に確認できるようにした。今後は、分析条件や入力データを変えた解析結果を比較し、仮説・検証の妥当性を客観的に評価できる機能の導入も検討している
また、実験現場で取得する写真や手書きメモのデータ化を可能とする「実験レポート作成サポート機能」も導入する。「材料は、新しい発見と最適な組み合わせで進化してきた。当社の事例をみても、その重要なヒントが実験現場のデータには詰まっている」という認識から、世代を超えた“気づき”情報の共有化を実現し新材料の創出につなげていく。今後は音声や映像への拡張も検討している。
トヨタは11月27、28日に東京ビッグサイト南展示棟 ホール1・2(東京都江東区)で開催される「ケミカルマテリアルJapan2025」(化学工業日報社主催)に出展する。同社ブースでは、専門スタッフがウェーブベースの概要や新機能を紹介する。