独自の自動肉盛りシステム「肉盛りくん」
<ケミマテ2025>
南海モルディ(大阪府堺市)は、独自の自動肉盛りシステム「肉盛りくん」を利用して樹脂成形加工メーカーが抱える課題解決に貢献する。肉盛りくんは、金型などの劣化を抑制することを目的に母材に高機能粉末を吹き付けて肉盛りできるもので、自動車用金属部品などを加工する際に用いられる金型に採用されている。プラスチック業界においては、とくにフッ素樹脂を成形加工する際、腐食性ガスが発生し、金型やスクリューといった部品が損傷してしまうが、肉盛りくんを用いて肉盛りすれば、金型などのメンテナンスや交換の頻度を減らすことができ、生産性の向上、コストダウンに寄与することが期待される。同社は肉盛りくんを駆使して肉盛りした金型などの販売・メンテナンスだけでなく、フッ素樹脂の成形加工も請け負える。これらソリューションを提案し、樹脂成形加工業界でも同社の存在感を高め、さらなる成長につなげる。 南海モルディは1958年の設立で、自動車部品をはじめ金属加工メーカーに対し、ラボや量産で用いる製造設備向けの金型や治具・工具の設計から製作、メンテナンスまでを一貫して行うなどして発展を遂げてきた。
さらなる拡大に向け、金属加工業界での成長を追求するとともに、新たな領域への進出を探索している。これまで培ってきたノウハウ・技術を生かせるとみているのが樹脂成形加工業界。金型や成形機用スクリューなどに対して肉盛りくんを活用したソリューションの提案を進めていく。主軸事業である金型製造業においても、とくにフッ素樹脂成形用金型の設計製作を試作込みで請け負うという新たなサービスを提供していくなど、全社を挙げて樹脂成形加工業界を開拓していく。
肉盛りくんは、金型などの母材にニッケル基合金などの粉末を吹きつけ、肉盛りできる自動肉盛りシステム。レーザーを照射し母材を溶融させ、そこへ合金粉末を吹き付けていくことで母材の表面に均一に肉盛りできる。人手で行うと変形する恐れのある細い形状のものや、複雑な形状のものにも適用可能。肉盛り層は1層当たり0・5~1・5ミリメートルが主流だが、任意の厚みに調整できる。熱源はプラズマレーザー、近赤外線レーザー、青色半導体レーザーの3種類で、母材が鋼や非鉄金属などによって使い分ける。
「肉盛りくん」で肉盛りしたスクリュー
肉盛りくんを用いるソリューションは、樹脂成形加工業界のなかでもとくに、フッ素樹脂の成形加工に活用できるとみている。フッ素樹脂を射出成形する際、腐食性のガスが生じるが、これが金型やスクリュー、ノズルといった成形機の部品を短時間で腐食させる原因となっている。この対策として金型などの素材に耐食合金を使用するとなると高価な原料のため、コスト増になる。また、メッキを施せば、高温環境下でフッ素樹脂の成形加工を行うため、剥離してしまう。
フッ素樹脂の成形加工を行うメーカーはこうした課題を抱えているが、肉盛りくんであれば解決できるとみている。肉盛りくんを使って金型やスクリューなどの表面に肉盛りする際、ニッケル基合金などの粉末は母材に溶け込みながら積層していくため密着性は良好。肉盛り層は摩耗によりすり減るが、メッキのように剥がれることはない。肉盛り層が薄くなってくれば再び肉盛りし、厚みを回復させられることから母材を繰り返し使える。肉盛り層を形成するニッケル基合金は優れた耐食性、耐摩耗性、耐熱性などを兼ね備えており、金型の母材に安価な金属を使用できるのも魅力だ。
生産性の向上やコストダウンにつながるといった利点に加え、金型については試作込みの金型の設計製作からメンテナンスまでを手がけており、ワンストップで対応できるという強みも訴求し、肉盛りくんを用いて肉盛りした金型や成形機部品の採用実績を積み重ねていく。
同社ではフッ素樹脂の成形加工を請け負うことも可能。2023年春に静岡事業所(静岡県袋井市)に型締め力110トンの射出成形機2基を導入しており、肉盛りくんで肉盛りした金型やスクリューなどを用いてフッ素樹脂の成形加工を受託できる体制を整えている。さらにフッ素樹脂のペレットや、同樹脂製のチューブ、フィルム、シートなどを中国から調達し、国内の企業に提供することもできる。こうしたビジネスも伸ばし、樹脂に関わる事業の成長を支える柱の一つに育て上げていく。