• 資源循環
  • 京葉コンビ、CN実現の先例に 地産地消など重視
  • 2025年12月5日
    • 学術・行政・製造・小売・金融の5者が議論を交わした
      学術・行政・製造・小売・金融の5者が議論を交わした
     11月27~28日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「ケミカルマテリアルJapan2025」(化学工業日報社主催)。2日目には「京葉臨海コンビナートのカーボンニュートラル推進に向けて-産官学金による地域連携と未来へのロードマップ-」と題したパネルディスカッションが開かれ、ファシリテーターを務めた東京大学環境安全研究センターの辻佳子教授を中心に活発な議論を交わした。自治体・製造業・リテーラー・金融の4分野から多彩な論点が挙がり、日本最大のコンビナートがカーボンニュートラル(CN)実現の先例を示すための道筋が探られた。

     辻氏を含む5人の登壇者がそれぞれ講演したのちに議論を交わした。冒頭で辻氏は、各者の取り組み紹介に頻出した「地産地消化」などのテーマに着眼。廃プラ回収や二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)などの循環手法を念頭に置きつつ、CN実現のための設備投資といった資金利用も活発化し得る地域としての特徴を総括した。

     市原市の小出譲治市長は廃プラ回収について、プラ資源循環促進法に基づく製品プラ・容器包装プラの一括回収に向けた取り組みを強調。2027年4月の市内全域での始動へと着々と準備が進むなか、「前提として『リデュース』も必要であり、焼却処理に回る量を減らすよう周知に努める」と述べた。そのうえで「戦後に全国から移転してきた住民の多さもあって回収率向上に向けた理解は得やすいだろう」と観測を語った。

     再生材を適用した商品はどうしてもコストが上昇しがちだが、これにはCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)にも普及推進部会長として参画するセブン&アイ・ホールディングスの宮地信幸執行役員が応答。「バージン品に比べ1・1倍までのコスト上昇しか許容されない」とシビアな試算結果を述べた。出光興産の田中洋志執行役員は製造業の立場から「日本企業は元来コストダウン策が得意ではあるが、消費者の理解・協力も必須だ」と応じ、実用に足る再生材製造の前提となる使用ずみ容器の洗浄の重要性を語った。これには小出氏も応じ、「約束ごとを守るのが国民性でもあり、その結果はポリスチレン容器を対象とした市内での実証結果からも明らかだ」と述べた。

     これに対し、「プラ資源循環がビジネスとして成立するにはキャッシュフローの確立が欠かせない」と述べたのは千葉銀行の淡路睦専務執行役員。市民による環境価値・価格転嫁への理解に触れつつ、技術革新・設備投資に向けたサステナブルファイナンスの活用を訴えた。同銀行が推進するサステナブルファイナンスの取り組みに対し「最初に興味を持ってくれたのは産廃事業者だった」との経験を語った。「サーキュラーエコノミーへの参画そのものが価値となることは、静脈側からもすでに浸透し始めているのではないか」との見方を示し、金融業としてCN化実現への“コーディネーター”となる意欲を示す。

     森林は「CN実現を果たすためにはプラ資源のほか、バイオマスや工場由来CO2など多様な炭素源の有効利用が欠かせない」と炭素フローの試算結果を示しつつ、「京葉地区は手近に森林資源がないが、都市型コンビナートとして使用ずみプラの回収可能性が大いにある」と指摘。炭素に関わる主要産業として化学・製鉄・製紙・セメントを挙げつつ、「(行政・リテーラー・金融を含む)バウンダリーを広げて多者連携を図ることが必須であり、局所ではなく全体最適解を目指そう」と締めくくった。
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