• 環境課題
  • 政府、GX移行債で分野別戦略改定 AIなど明記
  • 2025年12月19日
  •  政府は、20兆円規模のグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債事業における分野別投資戦略を改定する。高市政権が「危機管理投資」「成長投資」による強い経済の実現に向け、17の戦略分野を定めたことを受け、人工知能(AI)やフュージョンエネルギー(核融合)の位置づけを明確化し、投資戦略に明記する方針だ。AIは半導体に、核融合は原子力の投資戦略案に盛り込む。AIではGX経済移行債を用いて、低消費電力で動作するオープンな国産AI基盤モデルの開発を目指す。

     18日に開催した内閣官房の「GX実現のための専門家ワーキンググループ」で事務局が改定戦略案を示した。政府が今月中に開催するGX実行会議で正式決定する。

     改定戦略案では、「半導体産業」の分野別投資戦略にAIを追加し、「AI・半導体産業」にした。今後、フィジカルAIの実現で、製造業の生産性向上やエネルギー消費の効率化が期待される。ただ、AIの推論にともない大量の電力消費が見込まれるため、低消費電力で動作する国産のAI基盤モデルを開発する。国産モデルが開発できれば、現場データを守りながら安心して活用できる。汎用モデルだけでなく、領域特化モデルも手がける方針だ。

     「原子力」の分野別投資戦略に核融合を追加し、「原子力(次世代革新炉)・フュージョンエネルギー」にした。核融合は、①カーボンニュートラル②豊富な燃料③安全性④環境保全性-という特徴から、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決する次世代エネルギーとして期待されている。国際熱核融合実験炉(ITER)建設の進捗や米国研究所でのイグニッション(核融合点火)達成などを契機に、グローバルで官民投資が急増している。このため、GX経済移行債を用いて、2030年代発電実証を目標に、フュージョン装置全体の開発に取り組む計画だ。

     そのほか、鉄鋼の分野別投資戦略では、GX製品の需要創出の観点から、グリーン購入法の活用や、グリーンスチールの普及・拡大に向けた公共工事での活用の方向性を記載した。

     自動車の分野別投資戦略では、クリーンエネルギー自動車のさらなる普及拡大に向け、充電・充てん設備整備を新たにGX経済移行債事業の支援対象に位置づけた。「くらし」の分野別投資戦略では、住宅のGX化を促進するため、将来的な制度導入の方向性を追記した。
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