素材と技術で
イノベーションに貢献

合併で販売と研究開発機能が一体化
新生「日光ケミカルズ」始動

日光ケミカルズ(中原秀之社長)を中核に、コロイド化学や皮膚科学を基盤としたスペシャルティケミカル分野で専門性を持つ6つの会社で構成されるNIKKOL GROUP(ニッコールグループ)。化粧品・医薬品・化成品分野において安全性、環境に配慮した製品・サービスなどを展開し、とくに化粧品原料では国内トップクラスのサプライヤーとして知られる。2022年4月1日には、販売部門の日光ケミカルズと研究開発部門のコスモステクニカルセンターが合併し、「THINK NEXT, ACT TOGETHER〜考えよう、次のこと。動き出そう、一緒に。〜」を合併のキーメッセージに、新たな日光ケミカルズとしてスタート、その展開も注目される。合併と同じく4月1日付で新社長に就任した中原秀之氏に抱負や、グループの強み、合併の狙いなどを聞いた。

新生日光ケミカルズ社長に中原氏

4月1日付で日光ケミカルズの社長に就任されました。意気込みをお聞かせください。

入社以来、新規事業の立ち上げや国内営業、海外営業など幅広い仕事に携わってきた経験を俯瞰的な視点から生かせれば。営業で国内外の多くのお客様と接するなか、相手の立場に寄り添い物事を進めることに努めてきた。今後もこの考えを実践しつつ、素材とアイデア、技術力でお客様のイノベーションに貢献していきたい

改めてニッコールグループの強みについて。

『美しさの化学を、社会を想う科学に。』をキーメッセージに、化粧品原料の企画から研究開発、製造、販売、安全性評価、機能評価に至るまでの総合的なサービス・ソリューションが強み。グループの国内製造を担う日本サーファクタント工業では界面活性剤やエステル類、ビタミン誘導体などを製造する工場も擁しており、研究開発から生産まで一気通貫で手掛ける数少ない化粧品原料メーカーといえる。素材のカスタマイズ化やお客様との共同開発など、きめ細かい対応も特徴だ。また、海外には、グループの日光化学貿易(上海)や日光ケミカルズシンガポール、また50カ国以上におよぶ販売ネットワークがあり、最新の化粧品トレンドや技術などを当社のノウハウと掛け合わせた価値提供に努めている

ソリューション力を強化

4月1日付で日光ケミカルズとコスモステクニカルセンターが合併し、新たな日光ケミカルズとなりました。合併の狙いをお聞かせください。

これまでニッコールグループでは、販売機能を担う日光ケミカルズと研究開発機能のコスモステクニカルセンターが別々の会社として存在していた。一方で、化粧品市場を取り巻く環境はニーズの多様化やトレンドの移り変わりが早いため、販売と研究開発の『スピードとシナジー』を一段と強化する必要があると判断し合併に至った。もちろん既存の体制でも良い面はあるが、時代の変化を先読みした提案活動でさらなる成長を図っていくためにはこの組織体制の変革が不可欠と考える。今後は販売と研究開発の機能を一つにしたシンプルな経営体制の下、お客様への価値提供の向上を目指していく方向だ。新体制では研究開発者も営業活動に同行する機会が増えるなど、販売と研究開発の機能の結びつきが強くなり、それがソリューション力の強化につながると期待している

合併によって日光ケミカルズは事業部制となり、「新規事業開発室」も新設しました。

事業部としては化粧品関連の総合提案を行う『パーソナル事業本部』、医薬品の原料などを扱う『医薬品事業部』、食品やインキ、半導体洗浄剤など幅広い化学品を扱う『化成品事業部』の3つが柱だ。既存の体制ではコア事業であるパーソナルケアをメインに経営資源を投入していたが、事業部制としたことで医薬品、化成品事業にもリソースを配分し、今後は医薬品、化成品事業をパーソナルケア事業に次ぐ事業の柱にできれば

一方、新設した新規事業開発室では、当社の培った界面・コロイド化学の知見をベースに、事業領域の拡大を目指している。例えば、ウェルネス分野など当社が参入していない市場での製品・サービス提供も視野に入れる。新ビジネスの育成は長期スパンを想定している

海外経験も豊富です。今後の海外展開の方向性ついてお聞かせください。

海外マーケットにおいては、パーソナルケア事業を軸にさらなる成長を狙いたい。ここ数年の海外事業は、幅広いネットワークを活用することで着実に伸長しており、ポテンシャルが高い。アジアでNO.1パートナーとなるべく、とくに中国、韓国、タイ、インド、インドネシアでの展開を重視し、ハラル認証をはじめとした各種認証の取得に取り組んでいる。グループ会社のシンガポールの製造拠点も活用することでその拡大を図りたい。海外顧客と接点を持つ海外パーソナルケア事業部では社員の多国籍化も進み、文化や習慣などで異なる要望をくみ取った価値提案ができるようになってきた。今後は海外拠点やパートナーを増やすことも積極的に検討していきたい

企業活動を通した社会課題の解決へ

2030年までに実現したい25の夢を掲げる長期ビジョン「NIKKOL 25 for 2030」を推進中です。とくに重要視するテーマなどはありますか。

同ビジョンには、『地球』の未来と共にあるために、『技術』で社会をリードするために、『事業』の新しい未来を切り拓くために、『社員』と共に未来を描いていくために、『世界』のNIKKOL GROUPであるために―という5テーマがあり、そこから派生した25の夢でなる。いずれも重要だが、とくに『社員』は全テーマを実現するうえでの根幹と認識している。社員を大切にすることで、ビジョンの達成にも近づけるだろう。この『社員が一番の資産』という考え方は歴代の社長から脈々と受け継がれてきた企業文化であり、規模が拡大しても人を大事にする会社でありたい。今後は多様性も尊重し、社員一人ひとりが生き生きと仕事ができる環境にしていく。環境がよければ生産性が向上し、業績にもプラスに作用するだろう。最終的には企業活動を通した社会や地球環境への貢献につなげたい

社員にはどのような行動・考えを求めますか。

当社はいわゆるBtoB向け製品が多い。このため自社製品がどのように社会に役立っているか、すべての社員が把握しきれていないのが現状だ。今後は自社製品・サービスが最終的に社会においてどのように貢献しているかを認識してほしい。我々が存在することで開発された製品は数多くある。これを知らなくても業務は遂行できるが、認識、理解したうえで仕事することによって豊かな発想や想像力につながる。それを元に、事業部門だけではなく、コーポレート部門のあらゆる職種においてもそのような価値を提供し、あらゆる人々の生活の向上に貢献しているという自覚を持って業務にあたってもらいたい

PROFILE     

中原秀之〔なかはら・ひでゆき〕

1993年(平成5年)日光ケミカルズ入社。2016年(平成28年)5月取締役営業本部長、22年(令和4年)4月代表取締役社長。東京都葛飾区出身、52歳。

日光ケミカルズに入社してすぐ、ネイルのOEM展開を目指した新規プロジェクトの立ち上げに携わる。その後は大阪で営業、東京本社での海外営業、営業統括など主要部門を担当。「相手の立場に立って考える」ことを信条とする。休日はゴルフなどでリフレッシュしている。