• 東洋エンジニアリングがFSを実施するインドネシア・ププック社のアンモニアプラント
      東洋エンジニアリングがFSを実施するインドネシア・ププック社のアンモニアプラント
     <2050持続可能な未来へ アンモニア/4(その2)>

    【1面から続く】

     海外生産~大量調達のサプライチェーン構築でもプラント各社は活動を活発化させている。東洋エンジニアリングはアンモニア設備コントラクターとして世界有数の存在で、86基の製造プラント、48基超のタンクの設計・調達・建設(EPC)実績がある。同社に対して初期段階の検討も含め世界で100件超のアンモニアプロジェクトの引き合いがあり、うち約30件について調査・検討に入っている。

     インドネシアでは現地肥料会社とグリーンアンモニア生産に関する事業化調査(FS)に着手。ププック社が保有する5系列計730万トンの既存のアンモニアプラントのうち現在余剰となっている120万トンのキャパシティを、再生可能エネルギーと水電解装置で製造する水素を原料にして生産するグリーンアンモニア設備に転換するものだ。「既存設備を活用することで早期の実用化が可能で、肥料需給の季節変動を吸収できるため経済性が高い」(古賀俊之プラントソリューション事業部CN事業推進本部本部長代行)と評価している。

     アラスカでは三菱商事、アラスカガス開発公社などともに、ブルーアンモニアのFS実施を決めている。

     また、アンモニア資源国となる中東、豪州における豊富なプロジェクト実績、大規模プロジェクトやモジュール工法に強みを持つ日揮ホールディングスとアンモニアプラントのEPCで提携を決めている。両社は23年に基本設計(FEED)、24年にEPCの共同受注を目指している。

     IHIはグリーンアンモニアを重視したプロジェクト開発に参画している。豪州タスマニア島では丸紅、豪ウッドサイドと共同で水力発電を利用したアンモニア生産を検討しており、将来は水電解容量を250メガワットまで拡張する方針。同国クイーンズランド州ではコーガン水素実証プロジェクトのFSに参加している。太陽光発電で水素を製造するもので、アンモニアにしてアジアに輸出することも視野に入れている。

     三菱重工はブルー水素・アンモニアでは中東、豪州、カナダで、グリーン水素・アンモニアでは豪州、カナダ、チリで受注を目指しており、電解装置、CO2回収装置、圧縮機、アンモニア製造装置などの製品を用意している。

     アンモニアSCを構成する大規模受入基地、アンモニア輸送船、アンモニア燃料船、液化CO2輸送船などもプラント各社の技術開発が求められる分野だ。
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