• 大型特集
  • 化粧品総合特集 R&Dトップに聞く 資生堂・エグゼクティブオフィサー チーフテクノロジーオフィサー・東條洋介氏
  • 2023年10月23日
     これまで培ってきた皮膚科学研究の強みを生かし、肌・身体・心の関係性を解き明かすことでソリューションを生み出していく。技術と情報が溢れる現代社会において、社会と生活者が求める「本物」を提供し続けるための基礎研究力、価値創出力を磨いている。

     9月にスペインで開催された化粧品技術を競う世界最大の研究発表会「第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)バルセロナ大会2023」では、香りとサンケアの分野で2つの最優秀賞を受賞した。香りの研究はフランスにある「資生堂ヨーロッパイノベーションセンター」が、国内の研究開発(R&D)拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」(GIC)と連携して推進。同大会において、海外拠点の発表が受賞したのは当社初のことで、近年推し進めてきたR&Dの国際連携強化の成果が見えた瞬間だった。GICが各国の研究開発拠点のマルチハブとしての役割を担い、グローバルでのR&D体制のさらなる強化を図る。

     現在注力している取り組みとして「技術の骨太化」が挙げられる。基礎研究で得た一連の知見を大きな技術として打ち出し、ブランドを横断して活用する。昨年発表した「サンデュアルケア技術」や、過去のIFSCCにおいて4大会連続で最優秀賞を受賞した「たるみ」関連の研究など、基礎研究型の我々だからこそできるアプローチの仕方を探り行動に移していく。

    • 先進の皮膚科学研究を結集した「エリクシール トータルV ファーミングクリーム」
      先進の皮膚科学研究を結集した「エリクシール トータルV ファーミングクリーム」
     また、こうした骨太の技術から持続的な価値創出ができるよう、生活者や社会のニーズを研究設計に生かしている。マスク着用のルール緩和以降、ほお・フェイスラインのもたつきやハリ・弾力のなさを気にするお客さまが増えたことに着目し、このほどエリクシールから、ハリのなさを引き起こす複数の原因にアプローチする独自技術「トータル V テクノロジー」を搭載した「トータルV ファーミングクリーム」を発売した。肌にハリをもたらす2種類の独自成分と肌を引き上げる手技の掛け合わせにより、ハリに満ち、引き締まった肌へと導く。

     スピード感をもってイノベーションを創出するため、オープンイノベーションを積極的に取り入れている。ウェルネス領域展開への第一歩として、ツムラ・カゴメ各社と共同で取り組む、インナービューティーブランド「シセイドウ ビューティー ウエルネス」の立ち上げはその代表的な例だ。協業において、研究所の役割はR&D同士で繋がり、新たな価値を生み出すことと考えている。特に、サステナビリティに関する研究は共に取り組む社会課題として、業界一体となって今後も積極的に取り組んでいきたい。
いいね

  • ランキング(特集)