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  • 化粧品総合特集 R&Dトップに聞く 日本メナード化粧品・取締役 商品企画開発部門部門長兼開発研究部部長・澤田均氏
  • 2023年10月23日
     2024年に創業65周年を迎える当社は、企業理念「美しさにまごころこめて」のもと、高い安全性や機能性を持つ高品質な化粧品を展開している。研究開発においては、新しい分野や他にない成分に着目し、長年の研究成果を商品につなげていることや、顧客の視点に立った化粧品づくりが強みだ。

     03年から始めた幹細胞研究は、常に業界をリードする研究成果を発信し続けている。大学や公的研究機関との共同研究も盛んに行い、これまでに幹細胞を起源とした皮膚再生の全体像を明らかにすることができた。

     最高級ブランドの「オーセントシリーズ」は、業界に先駆けて幹細胞研究を応用した。従来のエイジングケア化粧品は、老化した細胞の活力を高めるという考え方が中心だったが、オーセントは新しい細胞に置き換えて肌を再生することをコンセプトとしている。

     1992年から開発を進めてきた安定化ビタミンE誘導体は、2021年にシワ改善の医薬部外品新規有効成分「VEP-M」として承認を得た。VEP-Mは、セラミドとヒアルロン酸の産生を高めて表皮を柔軟にしてシワを改善する。このほど、VEP-Mと独自開発したコラーゲンを配合した美容液「薬用ラインズリセット(医薬部外品)」の販売を開始した。

     コロナ禍で化粧品業界は打撃を受けた。当社でも、対面の販売活動やサロン店での施術ができない時期が続いた。現在では、コロナ禍前の生活に戻りつつあるが、コロナ禍を経て大きく変化したものはデジタル化だと考えている。

    • シワ改善の有効成分VEP-Mと独自開発したコラーゲンを配合した美容液「薬用ラインズリセット(医薬部外品)」
      シワ改善の有効成分VEP-Mと独自開発したコラーゲンを配合した美容液「薬用ラインズリセット(医薬部外品)」
     こうした顧客の変化に対応するため、美容に特化した独自のAIを搭載したカウンセリングシステム「美肌アドバイスAI」を導入した。当社が蓄積してきた肌データを基に、次世代の美容カウンセリングを行う。同システムの導入よって、デジタルとリアルを上手く融合させた美容提案が行えるようになった。

     今後は、遺伝子解析技術を応用した美容提案の実現へ向けた取り組みを進めていく。遺伝子解析技術の進歩によって個々のゲノムレベルでの解析が可能になり、当社でもこれまでに1000人規模のゲノム解析を実施した。現在、肌質と遺伝子との関係について研究を深めている。

     また、幹細胞テクノロジーを応用した人工皮膚の開発にも力を入れており「Japan BeautyTech Award 2021」で大賞を受賞。より人の皮膚に近い状態のモデルを作り出すことに成功した。同技術を活用し、安全性が高く高機能な化粧品の開発を進めていく。
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