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  • 化粧品総合特集 日本触媒、新しい価値、この素材から
  • 2023年10月23日
  •  化粧品事業の育成に力を注ぐ日本触媒。高機能で、サステナブルといった特徴を有する化粧品原料が求められているが、分子設計をはじめ得意とする技術を活用したり、オープンイノベーションを推進したりして、ニーズに応える。

     顧客の関心が高い製品の一つが超分子形成オイル増粘剤。親溶媒基と疎溶媒基を併せ持つ特異な構造をした化合物で、化粧品に利用すれば皮膜感が出ず、油剤本来の感触を実現できる。複数の相互作用によりオイル中でひも状ミセルを作り、絡み合うことで自己会合体を形成し、オイルの隅々にまで広がりゲル化する。これにより粘度が高まり、独特の触感を付与できる。

     原子間力顕微鏡(AFM)で、ひも状ミセルとなっていることを確認している。各種オイルを増粘することが可能で、処方の幅を広げられる。日焼け止め、リキッドファンデーション、口紅などでの採用を目指す。

     分岐型のノニオン性界面活性剤にも期待を寄せる。炭素直鎖の不規則な位置にポリエチレングリコール(PEG)鎖を付加した二級アルコールエトキシレートで、化粧品向けに新たな特性を見いだした。一つが毛髪のうねり抑制で、優れた効果を発揮する。髪の毛の破断強度が回復することもわかった。

     香料の可溶化能も高い。精油成分であるリモネン、同界面活性剤、水を混合し液晶を形成させた後、さらに水で希釈すれば、リモネンの可溶化量を大幅に増加させられる。

     酸化エチレン付加モル数が9の「CK-1309」と同12の「CK-1312」を中心にシャンプー、コンディショナーなどに提案を進める。

     他社や大学などと協業し、天然由来のグリーン素材の品揃えを拡充している。現在、植物エキスやバイオサーファクタントの機能性を評価中。今年8月には一般社団法人アップサイクルに加入、廃棄される果物などのアップサイクルにも挑む。
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