特異な機能を有する化粧品素材を生み出し続ける三洋化成。既存品を含め、国内外で採用実績を積み重ね、化粧品ビジネスを伸展させる。

　今年度に入り、２つの新規開発品の提案活動を開始した。１つがピッカリング乳化剤「ソリエマー」。独自の表面処理により疎水化した粒子径がサブミクロンサイズの真球状シリカで、日焼け止め化粧品などに配合すれば、肌に塗った際になめらかで、さっぱりとしたみずみずしい感触を実現できる。ソリエマーを同社が見いだした乳化方法で乳化すれば安定性の高いＯ／Ｗ（水中油滴）型エマルションが得られる。さまざまなオイルに適用可能で、無極性のミネラルオイル、極性のあるエステルオイル、シリコーンオイルなどを乳化できる。

　滋賀県産の米を精米するときに発生する米ぬかをアップサイクルしたＳＰＦブースター（ＳＰＦ向上効果）「コメファイン」は、日焼け止め化粧品に用いれば紫外線（ＵＶ）防御機能を高められる。コメファインにはＵＶ吸収能を有するフェルラ酸が含有されており、ＵＶ吸収剤の使用量を減らし、肌への負担を軽減しながら優れたＵＶ防御効果を発揮する。また、分散性向上に寄与するリン脂質も含んでいるため、日焼け止め製剤のなかでＵＶ散乱剤を細かく分散させられる。結果、ＵＶ散乱剤の使用量を低減でき、白浮きやきしみ抑制につながる。

　ソリエマー、コメファインはともに高い評価を受けており、当初より上市時期を早める考え。

　育成中の化粧品ビジネスを拡大させていくうえで、海外展開を加速させる。重点国・地域に新たに加えたインドでは、現地の代理店と協力して市場調査を進めており、投入する化粧品素材を探っている。東南アジアも注視している。タイのグループ会社と連携し、インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒が多い国・地域の開拓にも取り組む。