丸善製薬は、自然老化した細胞の機能低下を回復させる新しいエイジングケア化粧品原料「ロータスリフト」を開発した。

　近年、医学分野では加齢と老化を分けて考え、老化は“治療できる”として、若返りの研究が進展している。同社では、化粧品分野への応用を目指して大学との共同研究を実施し、ハスの成長の源となる胚芽（ベビーロータス）から抽出した植物エキス原料であるロータスリフトに強力なオートファジー誘導作用などを確認。老化した細胞を若い細胞の状態に近づけることで肌を若返らせる効果が期待できる。

　同社では、皮膚の線維芽細胞を継代しながら長期間培養することにより自然老化を誘導し、各種老化マーカーの発現上昇を確認したところ、老化の最終段階として細胞の増殖が停止するよりも早期の段階で、ミトコンドリア機能が低下することを発見した。この早期の老化細胞へロータスリフトを添加することにより、ミトコンドリア機能が再活性化し、老化マーカーである老化関連β－ガラクトシダーゼ活性の発現が減少するとともに、コラーゲン産生能が若い細胞に近づくことを見出した。この細胞の若返りメカニズムとして、エピジェネティック変化によるＢｅｃｌｉｎ１の活性化を介したオートファジー誘導により、細胞内に蓄積した老化原因物質を除去することで、タンパク質恒常性が正常化し、細胞の若返りに繋がったと考えられる。

　これら有効性の詳細は、ＩＦＳＣＣ(国際化粧品技術者会連盟)２０２２ロンドン大会での技術発表や、査読付き論文誌への投稿を通して発表されている。また、今年開催されたＣＩＴＥ　ＪＡＰＡＮ　２０２３（第１１回化粧品産業技術展）にてシワやたるみ、乾燥などを予防・改善する化粧品原料として紹介しており、エイジング・リバースというエイジングケアの新たな時流をつくっている。