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  • 化粧品総合特集 高級アルコール工業、SDGs関連などを提案
  • 2023年10月23日
  •  高級アルコール工業は、植物由来の化粧品原料のうち高級アルコール類、イソステアリン酸、エステル類、グリコール類の開発・製造・販売と応用技術の提供を長年にわたり注力している。今後は海外展示会への展示内容の一層の強化、とくにSDGs(持続可能な開発目標)関連製品や処方例などの紹介を積極的に進めていく。

     エステル類は多くの製品があることから感触の差別化を長年にわたり進めている。摩擦感測定装置を活用し、MIU・MMDなどの指標により、重い・軽い・なめらか、といった使用感を数値化し情報提供している。高粘度油剤では、粘弾性測定を行い物性を分析し紹介。これらの情報は時代に合わせて刷新し続けており、化粧品製剤の処方作成の参考資料として好評を得ている。

     一方、化粧品には乳化処方が非常に多く、エステル類の乳化特性を示す数値として所要HLB値が知られている。同社は今年9月開催の日本油化学会第61回年会で「油相の粘度を考慮した所要HLB値の高精度予測」と題したポスター発表を行った(ポスター賞受賞)。今回の発表は、エステルの所要HLB値における粘度の影響である、代表的な油剤としてエチルヘキサン酸セチルを選んで、粘度を考慮した所要HLB値を用いた結果、安定した乳化物を調製することができた。より油剤の処方設計への活用が容易になることが期待される。今後も油剤の種類を増やして情報提供できるよう研究を進めていく。

     一方、本社工場は成田に移転してから30年経過していることから、リニューアルを計画している。まずは新本社・研究所の建設を2025年の完成を目指して、設計がほぼ確定。今年10月より事前工事を開始し、24年1月から建設を着工予定である。新本社・研究所では基礎研究、応用研究など新製品開発や製造工程の改善など研究全般の強化を図る方針だ。また、顧客との共同研究も可能となるよう配置を工夫している。
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