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  • 化粧品総合特集 物産フードサイエンス、糖アルコールの用途拡大
  • 2023年10月23日
  •  物産フードサイエンスは、糖アルコールの一種であるエリスリトールの新たな用途として、皮膚常在菌への静菌効果について研究を進めている。これまでは使用感や保湿効果に関する研究を進めてきたが、このほどワキガ臭や足臭などの体臭原因菌、ニキビの発症や悪化にかかわるアクネ菌、皮膚疾患にかかわると言われるマラセチア菌への影響について新たな研究結果が明らかとなった。科学的根拠となる試験データを充実させ、新たな用途への広がりに結びつける。

     エリスリトールは、グルコースから発酵法で製造される糖アルコールであり、自然由来指数が1・0である。「さっぱりした感触」「吸湿性が低く、結晶性が良い」「溶ける際に冷涼感を感じる」など他の糖アルコールとは少し異なる特徴がある。化粧品だけでなく、食品などにも幅広く利用される糖アルコールだ。

     新たに、コリネバクテリウム属やブドウ球菌属などの体臭原因菌の増殖を抑制する傾向が確認された。これらの菌が作り出す物質が臭いの原因であり、その特定の菌に対する静菌効果を発揮することがin vitro試験で明らかとなった。さらに、臨床試験ではエリスリトールによってワキのニオイ強度を軽減させる働きが確認できたという。

     ニキビの原因となりうるアクネ菌については、善玉アクネ菌の増殖を促進して悪玉アクネ菌の増殖を抑制する作用を見いだした。皮膚疾患にかかわるとされているマラセチア菌に対しても、キシリトールやソルビトールなど他の糖質と比べて高い増殖抑制効果が示された。いずれの研究成果も特許を出願中だ。

     自社のホームページ上で展開する研究開発サイト(https://rd.bfsci.co.jp/cosme/)では、これまでに蓄積してきたアプリケーションデータや特許技術を随時公開している。菌叢のバランスを崩しにくく、原因菌に対して特異的に作用する機能性として化粧品メーカーへの働きかけを強めていく方針だ。
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