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  • 化粧品総合特集 クラレ、ヘアカラーでIPG伸長
  • 2023年10月23日
  •  クラレは、多機能保湿基剤「イソプレングリコール(IPG)」でカラーリング剤の需要を取り込む。永久染毛剤のヘアカラーをはじめ、半永久染毛料のヘアマニキュアやヘアカラートリートメントなどに配合することで、色づきやすさと色落ちしにくくなる作用を新たに確認。カラーリングにおいて、色ムラや洗髪による退色が課題となるなか、毛髪補修といった従来の機能性以外にも用途を広げる。IPGの販売は数量ベースで年率10%強の伸びを続けている。鹿島事業所(茨城県神栖市)での増産対応も検討しながら、今後は同15%の成長を目指す。

     カラーリング剤への提案強化に乗り出すIPGは、保湿性や静菌性に優れるとともに刺激やにおいも非常に少なく、溶解性などさまざまな種類の原料との相性が良いのが特徴。一般名称は「イソペンチルジオール」で医薬部外品原料規格に適合し、安全性も高い。

     水溶性で肌や髪へのなじみが良く、なめらかな使用感を得られるという。防腐助剤としてもブチレングリコール(BG)に比べて優れた機能を発揮。糖類との併用で傷んだ髪を補修する働きを引き出すほか、シリコーンと同等の疎水化効果もある。毛穴に詰まった角栓や皮脂、メークに対する優れた洗浄力も広くアピールしてきた。

     これまでにスキンケアやヘアケアをはじめ、メーキャップ製品などで多くの採用実績を積み上げてきたが、新たにIPGを永久染毛剤や半永久染毛料に加えることで染毛性が高まることを見いだした。髪色で個性を表現しようとヘアカラーの需要が伸びており、化粧品メーカーに採用の働きかけを進めていく。

     IPGの足元の販売は右肩上がりで推移しており、今後の生産計画については現中期経営計画の最終年度にあたる2026年までに以降の増産対応について見極める。国内のみならず、欧米や韓国、中国といった海外でもIPGの特徴を生かした事業を展開していく。
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