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  • 化粧品総合特集 MORESCO、ナノエマルジョン実用化
  • 2023年10月23日
  •  MORESCOはナノエマルジョンの早期実用化を狙う。ナノエマルジョンは水に溶けにくい機能成分をナノサイズに乳化することで経皮吸収率を大幅に改善できる技術。脂溶性機能成分の高い浸透性、少量添加での機能発現向上が図れるうえ、アルコール耐性など長期保存安定性に優れる。

     日本で初めて合成カンナビジオール(CBD)を輸入販売してきたバランスド(東京都渋谷区)とヒロインターナショナル(同)とともに、2020年から共同でCBDナノエマルジョンの開発を進めている。難溶性成分のCBDの経皮吸収率も従来のリポソーム製剤と比較し170倍と高く、スキンケア製品などへの利用が期待される。

     ナノエマルジョンの応用展開の一環として、化粧品事業へ新規参入する。OEMメーカーと共同でアンチエイジング効果が期待できる化粧水と美容液を開発する。自社ブランドとともに専用サイトを立ち上げ、来春をめどにオンラインでの販売を開始する。原料供給にとどまらず最終製品まで手掛けることで、同技術の特性や使用感、最適な処方など業界内での普及促進および認知度向上につなげる。

     外部の原料メーカーと協力し、化粧品用新素材の開発に乗り出す。従来の熱水・エタノール抽出物や超臨界CO2抽出物とは異なり天然素材・発酵物からのオイル抽出物を活用し、ナノエマルジョンで水溶化することで高い吸収性を実現。新たな機能を有する新素材の開発を目指す。

     一方、医薬品分野ではドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用に向け長崎大学との共同研究が進展中。リポソームを用いた従来のDDSと比較して優れた吸収性を生かし、抗がん剤内包のナノエマルジョンDDSの開発を目指す。また、生体内の特定臓器への選択的な送達を可能とするため、リガント分子による修飾技術の導入も視野に入れる。食品分野では、特殊界面活性剤でなく汎用性の高い界面活性剤を原料に用いることで使用範囲を広げていく考えだ。
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