• 半導体景気に沸くピョンテク市では、駅前で再開発工事が進む
      半導体景気に沸くピョンテク市では、駅前で再開発工事が進む
     <構造改革急ぐ韓国化学/上>

     韓国の化学産業が構造改革を急いでいる。韓国政府は8月、石油化学10社に対してナフサ設備の削減を要請した。背景にあるのは中国での過剰生産。韓国では当面の間、基礎化学品の設備投資は期待できない。その一方で半導体やリチウムイオン2次電池(LiB)などの原材料となるスペシャリティケミカルについては投資が活発化している。韓国国内での投資にとどまらず、新興半導体市場であるインドへ向けた輸出事業を構想する動きもある。

     大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の投資誘致組織・インベストコリアのパク・ボンギ化学産業プロジェクトマネジャー(PM)は「石油化学・基礎化学品市場の状況は悪く、構造改革が急務。生産能力を減らせば、政府から支援が受けられるようになる」という。一方「半導体などスペシャリティケミカルは投資が続いており、売上高も伸びている」と強調する。「日系化学は、韓国の顧客ニーズに合わせて投資や増強を続けている最中にある。その動きに対して、政府も各種支援策を提供している」。

     その一つが半導体やLiBなどを対象とする国家戦略技術税額控除制度。「承認を受ければ投資額の30%ほどが支援されて事業に活用できる。日系化学の申請・承認が増加している」(KPMGサムジョン会計法人)という。韓国の半導体市場は2025年に入り、人工知能(AI)や広帯域メモリー(HBM)などの需要拡大を背景に好調。インベストコリアのパク・ドンユル半導体&ディスプレイPMは「とくにSKハイニックスがHBMで好調であり、全般的には活況」と語る。

     外部環境の改善をいち早く捉えるのが日産化学だ。同社は現地法人・NCKの本社および工場をソウル南方のピョンテク市に置く。近隣のヨンイン市を含め半導体産業が盛んな地域だ。NCKピョンテク工場では、半導体光リソグラフィー向け反射防止剤や極紫外線(EUV)用下層膜、多層材などを製造し、ほぼフル稼働の状態にある。23年にはタンジン市にも工場を設けた。タンジン工場の生産品目はまだ少ないが、顧客からの承認が下りれば稼働率は急速に上がるとみる。

     JX金属もピョンテク市に現地法人・韓国JX金属を置く。ピョンテク工場は、スパッタリングターゲットの加工拠点として機能する。同社の半導体用スパッタリングターゲットは、最先端のロジックやメモリーなど各種半導体デバイスの製造に用いられる。ピョンテク工場の稼働率はフルに近い状態にあり、25年度内の増強を予定する。
    • 韓国JX金属は旺盛な需要を背景に年度内に増強する
      韓国JX金属は旺盛な需要を背景に年度内に増強する
     半導体製造装置向けセラミックスを提供する米クアーズテックのクミ工場も高稼働率が続く。HBMなど半導体の高度化にともない、剛性や耐熱性など、部材に求められる要求も高まっている。すでに最先端の半導体プロセス向けにカスタマイズされた供給体制を整えており、韓国だけでなく米国への出荷も増やす。

     韓国での経験を生かして、半導体関連の輸出事業を立ち上げる動きもみられる。有望視する出荷先がインドだ。米中対立、サプライチェーンの多様化を背景にインドでの生産機運が高まっている。インド政府が支援するほか、同国の財閥系企業も半導体工場の整備に力を注いでいる。こうした動きを敏感に捉えるのはメーカーよりも商社だ。双日はグループで連携して韓国からの材料輸出を検討している。
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