会場では多様な国々からの出展がみられた
<国際プラスチック・ゴム産業展K2025から見る化学産業/上>
ドイツ・デュッセルドルフで10月に開催されたプラスチック・ゴム展示会「K2025」。出展企業の顔触れは国際色豊かで、日本からも多数の企業が出展した。環境対応を意識した展示内容が極めて多く、会場では「(とくに欧州では)環境対応はもはや企業としての大前提」(日系企業関係者)という声も聞かれた。前回の開催時と比べても各社の熱は一段と増していた。さらに、中国やインドといった国々やスタートアップなどの出展も目立ち、出展企業の多様化はより一層進んでいる。
開催8日間の来場者数はのべ17万5000人以上で、前回を上回る66カ国、3257社が出展した。相次ぐ軍事衝突や自由貿易体制の揺らぎなど逆風となる要素は数多いものの、各社の出展意欲は高かった。これに対しK2025出展者諮問委員会長のウルリッヒ・ライフェンホイザー氏は、「プラスチックはこれまでも、そしてこれからもわれわれにとっての最も重要な素材であり続ける」と述べ、化学産業が引き続き将来性のあるビジネスであることを強調した。
各社の展示のテーマは「サステナビリティ」に集約される。とくに、欧州連合(EU)の指針のもと各種規制案の検討・発効が進みつつあるなか、素材のリサイクル技術は各社の「標準装備」となりつつある。独BASFや米ダウ・ケミカルは自動車内装材やシューズなどを回収・リサイクルする取り組みを紹介し、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)技術の進展を示した。
化学・素材各社にとって自動車はいぜん有望な市場だ。自動車の軽量化や製造プロセスの環境負荷低減に貢献する製品が多く展示され、日系メーカーも存在感を放った。エンジニアリングプラスチックによる金属部品の代替や成形しやすい材料などのアプローチがみられた。欧州では景気低迷にともない自動車の販売台数は落ち込んでいるが、同分野は引き続き数量の見込める用途。各社はそれぞれの得意分野で差別化を図る。
自動車関連では、車載電池の安全性向上につながる耐熱性樹脂などを展示するメーカーも多かった。電気自動車(EV)の販売が落ち込むが、ハイブリッド車(HEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)が車載電池向けソリューションの需要を補うことが想定され、引き続き積極的な開発が行われそうだ。
包装ごみの削減やリサイクルの促進を掲げ25年2月に発効した包装・包装廃棄物規則(PPWR)を背景に、包材のサステナブル化は一層勢いづいている。モノマテリアル化に貢献する製品や、バイオマス原料、リサイクル原料を用いた製品などが多くみられた。PPWRは30年ごろにかけて本格化する計画で、各社はこの流れをビジネスチャンスに変えるべく活発に取り組んでいる。
ほかにも、各社は工夫を凝らした展示で関係者の目を引いた。EVのF1にあたるフォーミュラEに協賛しているサウジアラビアのSABICはレース風景をバーチャルで体験できるレーシングシートを設けたほか、独コベストロは同社製品が採用された電動自動運転シャトル「PEOPLE MOVER」のコンセプト車両を配置した。