東和薬品の山形工場第三固形製材棟
<後発品 問われる安定供給/2 協創による再出発>
企業による不正で自主回収が相次ぎ、供給不安が今も続くジェネリック医薬品(後発薬)産業。各社設備投資を打ち出しているほか、産業構造の問題として指摘されている少量多品目生産体制の解消に向けて、品目統合やコンソーシアムといった業界再編の動きがみられるようになった。日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)では、会員各社に設備投資などにより2029年度までには168億錠の生産増を見込む。供給量が需要量を上回る見通しだが、それでは「誰も納得しない」(川俣知己GE薬協会長)として、投資計画の前倒しを要請する方針を示している。後発薬は社会インフラとして期待されつつも、数量シェア9割を近づいた現在では国内市場はもはや飽和状態。各社は安定供給で連携しながらも、中長期的な成長戦略を描く。
「ここまで不祥事が続くと、産業構造というより業界の体質に関しても疑問を持たざるを得ない」。薬機法違反により21年に小林化工や日医工などが業務停止命令を受け、23年には沢井製薬までも溶出試験で不正をしていたことが発覚したことを受け、薬価について議論する厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)ではこのような発言がみられた。
後発薬企業の相次ぐ不正はメイドインジャパンの信頼が揺らぐ事態となったが、1社が生産する品目数が増え続けて生産効率の悪い少量多品目生産が広がった低収益構造の問題も背景にある。毎年改定による薬価下落を新規収載品の上市でカバーするビジネスモデルで多品目化が加速し、一つの成分に多くの企業が参入した。
こうした事態を受け、厚労省が昨年に行った「後発医薬品の産業構造改革に向けた大臣要請」で、当時の武見敬三厚労相が「安定供給の観点から、成分ごとの供給社数は5社程度が適当である」との考えを示し、「業界再編は待ったなし」と強調。過当競争状況を是正し、過度な低価格競争から脱却することで規模の経済が生かせる企業規模への再編が必要とした。そのうえで、5年程度の集中改革期間を設定し、独占禁止法との関係などを関係省庁と連携して整備していく方針を示した。
薬価制度上のテコ入れも行い、今年4月の薬価改定時には後発薬を安定供給できる企業を評価する企業指標制度が本格導入された。具体的には後発薬の供給実績に加え、後発品の安定供給に関する情報が公開されているか、安定供給のための予備対応力が確保されているかといった各評価項目で点数化し、上位20%がA区分、0ポイント未満がC区分、それ以外をB区分と3分割で評価され、薬価に差をつける仕組みだ。来年度にはA~Cのどの区分に評価されたか、具体的な企業名が公開される。
さらに、企業側も増産や品目統合に向けた動きが本格化している。大手の東和薬品は今年10月に山形工場第三固形製剤棟の設備立上げが完了し、来年度には生産能力175億錠体制が達成できる見込みだ。沢井製薬も第二九州工場、さらに子会社トラストファーマテック(福井県あわら市)の清間第二工場と同第三工場で増強を進め、27年末以降には合わせて245億錠の生産体制を計画する。
再編や品目統合の動きも出てきた。日医工、共和薬品、T’sファーマ(旧武田テバ)の3社の持ち株会社として「アンドファーマ」が発足。グループ内で品目統合を進めているほか、日医工単体としても沢井製薬と15成分30品目を2社のどちらか一方に生産を集約する協業に合意し、医療機器メーカーのニプロとは注射剤抗菌薬3成分8品目で一方に集約することで合意した。Meiji Seika ファルマとダイトは、製造拠点の集約を進めるための「新・コンソーシアム構想」を打ち出し、辰巳化学や日本ケミファなども含めた7社の企業連合体が誕生した。すでに56品目で統合に向けた検討を進めている。