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  • タイ化学大手4~6月期、汎用品苦戦し2ケタ減益
  • 2025年8月27日
    • SCGCは買収から3年足らずの欧州のリサイクル事業を減損した(写真は同社資料より)
      SCGCは買収から3年足らずの欧州のリサイクル事業を減損した(写真は同社資料より)
     【バンコク=松井遥心】タイ化学大手4社の今年第2四半期(4~6月)決算は、本業のもうけに当たるEBITDA(金利・税・減価償却費計上前利益)が揃って前年同期を2ケタ割り込んだ。汎用化学品や合成樹脂の利ざやが伸び悩み、原油価格の下落により在庫評価損も生じた。利益の急回復が見込めないことから、各社は体質改善を目指して不採算事業の整理を急ピッチで進めている。

     各社別のEBITDAを見ると、国営石油企業PTT傘下のPTTグローバルケミカル(PTTGC)の調整後EBITDAは前年同期比37%減の61億バーツ(約280億円)。フェノールや高純度テレフタル酸などを手掛ける中間体部門が前四半期に続き赤字となり、オレフィンや芳香族製品を含む上流部門も大幅に利益を落としたうえ、ポリマー製品の市況下落も響いた。20日に決算会見を開いたPTTのコングラパン社長兼CEOは化学事業の上期の状況について「供給過剰とグローバル経済の減速による需要の低迷が続いている」と説明した。

     同じくPTTグループのIRPCは、同85%減の2億バーツに沈んだ。芳香族製品の利ざやが落ち込んだほか、米国政府による相互関税の発動予告がABS樹脂やポリスチレンの需要にマイナスに作用し、利益が低調だった。

     PET樹脂世界最大手のインドラマ・ベンチャーズは、主軸の複合PET事業で苦しい状況が続く。調整後EBITDAは110億バーツで同11%減少した。供給過剰により市場の需給バランスが崩れたことにより、モノエチレングリコールやメチルターシャリーブチルエーテルなど中間体製品が減益となったうえ、特殊化学品も振るわなかった。界面活性剤を主力とするインドビニャ事業では、米国の関税政策が顧客側の一時的な需要減につながったほか、リニアアルキルベンゼンの計画的な設備停止が収益を押し下げた。

     SCGの化学子会社SCGケミカルズ(SCGC)は、同42%減の18億バーツとなった。ポリオレフィンや塩ビ樹脂は販売数量、マージンともに改善が見られたものの引き続き水準は低く、在庫評価損などの要因により減益を余儀なくされた。7月末に会見した同社のサクチャイ社長兼CEOは「第2四半期は状況がやや改善したように見えるが、完全な回復とは言えない。中国では新たな生産能力が引き続き立ち上がっており、スプレッド(原材料と製品の値差)は下がっていないものの、供給が増加しているうえ需要はいぜんとして弱い」と話した。

     各社とも構造改革の真っただ中にある。SCGCは23年に買収した欧州・コソボのリサイクル事業を減損処理し、6億バーツの損失を計上した。インドラマは、アイルランドでリサイクルポリエステルを製造している傘下のウェルマン・インターナショナルを非継続事業とすることを決定。年内に別のグループ会社1社の売却を計画しているほか、来年にはもう2社を切り離す方針で準備しているという。

     PTTGCはウレタン原料メーカーであるベンコレックスの売却を完了。連結除外に伴い、約15億バーツの一時的な利益を得た。6割出資するメルトブローン不織布製造会社の解散を決めたIRPCは、資産の減損と処分として約2億バーツの損失が生じた。
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